ナースのお仕事 ザ・ムービー
2004年10月16日 映画
今日はフジ系でこの「ナースのお仕事」の映画版が放送されたので、本日はこれについてレビューを。
本題に入る前に一つ苦言を。
ビスタで製作された映画をスタンダードで放送すんじゃない!
横が切れるっつぅの。
どうしてわざわざ見えにくいスタンダード・サイズにトリミングするのかね。途中途中、アングルを調節するために画面をずらしていた箇所があったし、それが出来ないカットに関しては、画面に入りきらずに顔が切れていた。
ビスタ・サイズだからまだ良かったものの、シネスコで作った映画だったらもっと大変なコトになってただろうね。
まぁ、画面のサイズについてはこのぐらいにして、本題。物語の核心について話そう。
まずはストーリー。
あ、今回は例によってネタバレ必至なので、ネタバレNGの方はスルーして頂きたい。
実は私、2年前の劇場公開の際にこの映画を見に行ったんだけど、正直あんまり良い印象を持っていなかった。
何を隠そう、ストーリーが破綻しまくってるんだもの。
まぁ、この「ナースのお仕事」シリーズは、このハチャメチャぶりが魅力なんだけど、細かい矛盾や無理が重なって、最終的に全体が破綻してしまったカンジなんだよね。
ではまずその理由について。
物語は「若葉会総合病院」の日常から始まる。恐らく製作者の中には、「ドラマを見ていない人にも楽しんでもらおう」という意図があったのだろう。冒頭から中盤にかけては、あくまで病院の「日常」について描いている。とは言っても、「3」を見ていないと、正直何が何だかわからないハズだ。特に上原多香子のシーンなんか、「別にいらないんじゃないの?」と初めて見る人は思ってしまうし、「先輩」「後輩」の関係が見ているだけですぐわかる尾崎先輩と朝倉に対して、朝倉が赤木の指導係だったというコトは今ひとつわからない。大島さんと尾崎主任が「犬猿の仲」ってコトも、何だか意気投合してるようでドラマを見ていた人間にとっても、「え?仲直りしちゃったの?」ってカンジで拍子抜けしてしまう。
でも、114分の上映時間の中でそれを全部説明するのはさすがに難しかったのだろう。やっぱり、この映画を見るためにはある程度予習が必要である。
ただ一つ許せないコトがある。
あんなに翔子さんを溺愛してた沢田先生が、翔子さんを置いて子供と旅行なんか行くか!
まぁ、問題はこんなコトでは無い。
とにかくこの映画の大きなテーマは「ナースステーション」がジャックされる」というコトなんだけど、その理由があまりにも凄い。何せ、入院させてくれないコトに腹を立てたからなのである。何故自分を入院させろ、なんて言い出したかといえば、尾崎主任に惚れてしまったからなんだけど、そんな理由でマシンガン片手に立てこもるかいな。
いくらハチャメチャぶりが魅力のこのシリーズでも、それはマズかったと思うぞ。それにシリーズを通して見てみると、ここまで極端な理由は今までに無かったし、きちんとストーリーはマジメに組み立てられていた。
これじゃぁ、せっかく積み上げてきた過去の遺産を食い潰すコトにもなりかねない。
もう一つ。この映画にはあと一つのテーマがある。
それは、「朝倉いずみが撃たれる」というコトだ。
実際、公開前はこのシーンを中心に大々的にTVスポットが打たれていたし、このシークエンスがどうなるか、というのがこの映画の最大の見所であることは間違いない。
ただ、その撃たれ方に無理があるのだ。「撃たれる」と聞いた瞬間に、誰もが「朝倉は犯人に撃たれる」ということを予想したと思うが、朝倉を撃つのは何を隠そう狙撃犯なのだ。そんな馬鹿なである。撃たれるシーンは、朝倉が犯人と揉み合っている間に狙撃犯が誤射してしまうというモノなのだけれども、あんな危険な瞬間に撃つハズがなかろう。
ただ、その後の「朝倉救出劇」は緊迫感充分で見ごたえはあるんだけど、ちょっと・・・。
そいで、その救出劇の結果、朝倉いずみは心停止。
でも、心停止40分後に願いが通じて奇跡的に回復。この「奇跡的」という展開は私は嫌いではない。「ご都合主義」と言えなくも無いけど、実際にこういうコトは起きているし、ラストを盛り上げる意味では良かったと思う。
ただ、厳密に考えればおかしい。心停止後40分経って蘇生したとしても、脳に障害が残ってしまう。何せ、40分間も心臓が止まっていれば脳に酸素がいかないのだから。
でも、こんなことは考えちゃいけないのかもね。
というコトでハッピーエンドで終わり、ラストには大島さんが主任になり、尾崎主任が婦長になってめでたしめでたし・・・
・・・じゃないね。
いや、ストーリーのことじゃなくて。
見終わってよーく考えてみれば、中途半端にしているトコロが一杯。原田龍二はどうなったの?犯人のウド鈴木はどうなったの?
せめて、ラストにウドが朝倉と尾崎に手紙を書くシーンぐらい欲しかった。
この後に製作された「4」でもこのコトについては触れてないし、どうも消化不良なんだよね。
こう、もう少し脚本の整理が必要だったと思う。
ドラマの二番煎じの粋を出ていないんだもの。
何だか不満ばかりなんだけど、興行的にはまずまず。
観客動員数は115万人、前回放送された時の視聴率は19.0%だったようだ。
やっぱし、ドラマの力って凄いんだなぁ。
「ナースのお仕事 ザ・ムービー」
監督・脚本:両沢和幸 製作:亀山千広
朝倉いずみ:観月ありさ 尾崎翔子:松下由樹 赤木まどか:神田うの
高杉健太郎:藤木直人 浜野雄一:石原良純 上原真弓:国分佐智子
水島龍太郎:岡田浩暉 矢口俊子:根岸季枝 熊野:蟹江敬三
猿渡剛:ウド鈴木 大島冴子:伊藤かずえ 根本雅子:吉行和子
本題に入る前に一つ苦言を。
ビスタで製作された映画をスタンダードで放送すんじゃない!
横が切れるっつぅの。
どうしてわざわざ見えにくいスタンダード・サイズにトリミングするのかね。途中途中、アングルを調節するために画面をずらしていた箇所があったし、それが出来ないカットに関しては、画面に入りきらずに顔が切れていた。
ビスタ・サイズだからまだ良かったものの、シネスコで作った映画だったらもっと大変なコトになってただろうね。
まぁ、画面のサイズについてはこのぐらいにして、本題。物語の核心について話そう。
まずはストーリー。
若葉会総合病院、外科病棟のナースステーションが、マシンガンを持ち、入院を要求する男にジャックされた。果たして、ナースたちの運命は?
若葉会総合病院最悪の一日が今始まる。
あ、今回は例によってネタバレ必至なので、ネタバレNGの方はスルーして頂きたい。
実は私、2年前の劇場公開の際にこの映画を見に行ったんだけど、正直あんまり良い印象を持っていなかった。
何を隠そう、ストーリーが破綻しまくってるんだもの。
まぁ、この「ナースのお仕事」シリーズは、このハチャメチャぶりが魅力なんだけど、細かい矛盾や無理が重なって、最終的に全体が破綻してしまったカンジなんだよね。
ではまずその理由について。
物語は「若葉会総合病院」の日常から始まる。恐らく製作者の中には、「ドラマを見ていない人にも楽しんでもらおう」という意図があったのだろう。冒頭から中盤にかけては、あくまで病院の「日常」について描いている。とは言っても、「3」を見ていないと、正直何が何だかわからないハズだ。特に上原多香子のシーンなんか、「別にいらないんじゃないの?」と初めて見る人は思ってしまうし、「先輩」「後輩」の関係が見ているだけですぐわかる尾崎先輩と朝倉に対して、朝倉が赤木の指導係だったというコトは今ひとつわからない。大島さんと尾崎主任が「犬猿の仲」ってコトも、何だか意気投合してるようでドラマを見ていた人間にとっても、「え?仲直りしちゃったの?」ってカンジで拍子抜けしてしまう。
でも、114分の上映時間の中でそれを全部説明するのはさすがに難しかったのだろう。やっぱり、この映画を見るためにはある程度予習が必要である。
ただ一つ許せないコトがある。
あんなに翔子さんを溺愛してた沢田先生が、翔子さんを置いて子供と旅行なんか行くか!
まぁ、問題はこんなコトでは無い。
とにかくこの映画の大きなテーマは「ナースステーション」がジャックされる」というコトなんだけど、その理由があまりにも凄い。何せ、入院させてくれないコトに腹を立てたからなのである。何故自分を入院させろ、なんて言い出したかといえば、尾崎主任に惚れてしまったからなんだけど、そんな理由でマシンガン片手に立てこもるかいな。
いくらハチャメチャぶりが魅力のこのシリーズでも、それはマズかったと思うぞ。それにシリーズを通して見てみると、ここまで極端な理由は今までに無かったし、きちんとストーリーはマジメに組み立てられていた。
これじゃぁ、せっかく積み上げてきた過去の遺産を食い潰すコトにもなりかねない。
もう一つ。この映画にはあと一つのテーマがある。
それは、「朝倉いずみが撃たれる」というコトだ。
実際、公開前はこのシーンを中心に大々的にTVスポットが打たれていたし、このシークエンスがどうなるか、というのがこの映画の最大の見所であることは間違いない。
ただ、その撃たれ方に無理があるのだ。「撃たれる」と聞いた瞬間に、誰もが「朝倉は犯人に撃たれる」ということを予想したと思うが、朝倉を撃つのは何を隠そう狙撃犯なのだ。そんな馬鹿なである。撃たれるシーンは、朝倉が犯人と揉み合っている間に狙撃犯が誤射してしまうというモノなのだけれども、あんな危険な瞬間に撃つハズがなかろう。
ただ、その後の「朝倉救出劇」は緊迫感充分で見ごたえはあるんだけど、ちょっと・・・。
そいで、その救出劇の結果、朝倉いずみは心停止。
でも、心停止40分後に願いが通じて奇跡的に回復。この「奇跡的」という展開は私は嫌いではない。「ご都合主義」と言えなくも無いけど、実際にこういうコトは起きているし、ラストを盛り上げる意味では良かったと思う。
ただ、厳密に考えればおかしい。心停止後40分経って蘇生したとしても、脳に障害が残ってしまう。何せ、40分間も心臓が止まっていれば脳に酸素がいかないのだから。
でも、こんなことは考えちゃいけないのかもね。
というコトでハッピーエンドで終わり、ラストには大島さんが主任になり、尾崎主任が婦長になってめでたしめでたし・・・
・・・じゃないね。
いや、ストーリーのことじゃなくて。
見終わってよーく考えてみれば、中途半端にしているトコロが一杯。原田龍二はどうなったの?犯人のウド鈴木はどうなったの?
せめて、ラストにウドが朝倉と尾崎に手紙を書くシーンぐらい欲しかった。
この後に製作された「4」でもこのコトについては触れてないし、どうも消化不良なんだよね。
こう、もう少し脚本の整理が必要だったと思う。
ドラマの二番煎じの粋を出ていないんだもの。
何だか不満ばかりなんだけど、興行的にはまずまず。
観客動員数は115万人、前回放送された時の視聴率は19.0%だったようだ。
やっぱし、ドラマの力って凄いんだなぁ。
「ナースのお仕事 ザ・ムービー」
監督・脚本:両沢和幸 製作:亀山千広
朝倉いずみ:観月ありさ 尾崎翔子:松下由樹 赤木まどか:神田うの
高杉健太郎:藤木直人 浜野雄一:石原良純 上原真弓:国分佐智子
水島龍太郎:岡田浩暉 矢口俊子:根岸季枝 熊野:蟹江敬三
猿渡剛:ウド鈴木 大島冴子:伊藤かずえ 根本雅子:吉行和子
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