作品的には素晴らしいと思う。
冒頭の雲海においてのF−15とモスラの攻防戦はCGと相まってとてもよい出来だと思うし(ガメラ3のパクリだと言われているが、とてもそうとは思えない)、品川でのゴジラ、モスラ、機龍のバトルも過去最高の出来だと思う。ただ予算が削られている所為か俯瞰でゴジラを見下ろすシーンは少々見苦しいものがあった。しかし現場はかなり頑張っていたようで、CGを使わない撮り切りの特撮は昔ながらのぬくもりがあり、なおかつ迫力も備えていると言う素晴らしいものだった。
また人間ドラマも小美人の忠告から始まった人々の苦悩が良く描かれており、義人と中條、義人と梓、義人と秋葉などの絡みも上手く描かれている。近作は言うまでも無く前作の続編として描かれてるわけだが、前作を見ている者にとっては茜、富樫、五十嵐など前作からの連続出演者がいることも嬉しい。

ところで、この作品の根底に流れているテーマは紛れも無く「命の大切さ」と言うコトである。詳しくはネタバレになるので書かないが、前作で提示された「生きてちゃいけない命なんてない」のではないかと言う疑問をきちんと続編である本作において答えを出しているのは特筆に値すると思う。
結論を出せば、本作は怪獣がただドンパチする映画ではなく、見終わった後に何か考えさせられる、映画であるという事である。

一方で、DVDの特典であるが、コチラはもうウンザリである。メイキングはただ現場の映像にサントラの音楽を付けただけだし、音楽収録の現場を収録した映像もイマイチ(大島さんの音楽が素晴らしいだけにアラが目立つ。
頼みの綱の九州朝日放送の特番もテロップがうるさすぎて見ていてとてもうっとうしい。
TVスポットを全部収録してくれたのは嬉しいが、これじゃぁその喜びも何処へやら。早く廉価版を出してくれないか?

作品の出来が素晴らしいだけに、特典の出来はいまひとつ。
ただ映画本編自体は見て損はしない出来だと思うので、おすすめしたい。


「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」
監督・脚本:手塚昌明 脚本:横谷昌広 音楽:大島ミチル

中條義人:金子昇 如月梓:吉岡美穂 秋葉恭介:虎牙光規
富樫:高杉亘 小美人:長澤まさみ・大塚ちひろ
家城茜:釈由美子 中條信一:小泉博 五十嵐隼人:中尾彬

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