※筆者 注:長くなったので、二つに分けました。
この日記は一つ前の日記から読んで下さいね。


(前編の続き)

・・・と、パラレルワールド全く無視で実に馬鹿馬鹿しいコトについて、大真面目に熱弁を奮ってしまった。
いかん、いかん。本題に戻ろう。

要するに、この東京タワー。
昭和時代には倒され続け、まさに倒されるためだけに建っていた建物だったのだ。これならば、怪獣壊す=東京タワーのイメージが定着しても不思議は無い(当時は怪獣ブームだったこともあるしね)。

とはいっても、平成に入ってからは、意外にも2回しか破壊されていない。
寧ろ、今は東京タワーよりも、お台場、新宿、品川や汐留などに破壊が集中している。



果たして、これが意味するものとは何か?

この問題に関して、切っても切り離せないことといえば、やはり高度経済成長が挙げられるだろう。
一般に、高度経済成長の象徴といえば東京オリンピックであるが、オリンピックは2週間も経てば終わるし、怪獣の破壊の対象とすることは出来ない。
もう一つ象徴となるものといえば新幹線があるのだけれども、こちらも意外に破壊の対象にはなってない。これは多分、怪獣の破壊による描写の芸術性に欠けるから、というのが理由ではないだろうか?実際、新幹線が怪獣によって破壊されたのは、私が知る限りでは三回のみ(「大怪獣ガメラ」「マグマ大使」84年版「ゴジラ」)。

コレに対し、いつまでも存在し、高度経済成長における伸びゆく日本経済のシンボルとして聳え立つ東京タワーが、怪獣映画における、高度経済成長のシンボルとなったのであろう。
また、怪獣が壊すものがb>巨大な建造物だと、それだけで画になる。実際、昭和33年当時の芝公園周辺は何にもなかった
だから立地条件的にも、東京タワーは高く、巨大な建物として、人々にも怪獣にも記憶されていたのだ。

では、何故現在は東京タワーは破壊の対象として敬遠されているのだろう?
一つの理由に、東京タワーが小さく見えるようになったからじゃないかと。
現在、ビルが乱立する都心から見る東京タワーはいたく小さく見える。
高さとしては東京タワーより低い新宿副都心の方が高く見えるぐらいだ。
だからなのか、ここ20年、新宿副都心は東京タワーに代わって破壊の洗礼を受けている。

これが意味するものとは恐らく、経済の低迷である。

度重なる暗いニュースによる報道で、日本人はすっかり元気を無くしてしまっている。そんな中で、「明るく楽しい60年代」と謡われた60年代のシンボル、東京タワーは徐々に敬遠されたのかもしれない。

でも、何となくコンクリートジャングルである新宿副都心には暗いイメージがあるような気がしてならない。実際、ゴジラが新宿を破壊する描写は、どこか悲壮感が漂っていた。

だからこそ、昨年の「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」においての東京タワー破壊は、一種独特の爽快感があったように思えてならない。

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怪獣映画はよく、時代を映す鏡と言われる。
公害でヘドラが生まれ、IT時代の今には、宇宙人はコンピューターを侵略する。

今は誰もが指摘するように暗い時代だ。

でも、そんな昨今の世相には、高度経済成長のシンボルである、東京タワーの存在が求められているのかもしれない。

いつの日か、またテレビや映画で、東京タワーがぶっ壊されるシーンが連発される日が来ることを、切に願う。

結論:「怪獣映画と東京タワー」の関係は、日本の経済成長に関係ある、ということ。




(^^;

参考文献:メディア・ファクトリー「空想歴史読本」(円道祥之 著)
「ゴジラが壊した建物で思い浮かぶものといえば?」

と聞くと、大抵の人は、

「東京タワー」と答える。

これ、実は大きな間違いなのだ。

いや、「間違いだった」というべきか。
意外なことだが、怪獣王・ゴジラが東京タワーを破壊したのは今のところ1回のみ。しかも、初めて東京タワーがゴジラの洗礼を受けたのは昨年(2003年)だったりする。

では何故、怪獣が壊す建物=東京タワーの図式がこんなにも定着しているのだろうか?

今日は、そのことについてちょっと考えてみようと思う。


おっと、唐突に何でこんなことを言い出したか、一応説明しなければいけない。
実は、今日私の知り合いであるとある方から、こんな質問をされた。
「怪獣映画と東京タワーの関係についてどう思う?」と。

なるほど。考えてみると面白い話だな、ということで、ちゃっかり日記のネタにしてしまったのである。

奇しくも、おととい12月7日は東京タワーが完成した日であるという。

そんなことで、今日はこのネタについてつらつらと書いていこう。

まずは東京タワーの基本データから。
東京都港区芝公園にある総合電波塔。構造設計は内藤多仲。1958年(昭和33)完成。高さ333メートル。塔頂部に東京の各テレビ局の送信アンテナが設置されている。
(三省堂 「大辞林」より抜粋)


当たり前のことだが、怪獣によってうんざりするほど破壊されたなんてことは一文字も書いてない。

この際、そこは私が補足するしかないんだな。

それじゃぁ、次は東京タワーの破壊の歴史について見てみよう。

1958年:東京タワー完成
1961年:モスラ幼虫、東京タワーに出現。東京タワーにとりついたモスラは巨大な繭を張って成虫に羽化。結果、倒壊。(1961年「モスラ」)
1964年:宇宙超怪獣・キングギドラが東京タワー上空に飛来し、東京タワー、翼による衝撃波で倒壊。(1964年「三大怪獣 地球最大の決戦」)
1965年:大怪獣・ガメラ、火炎放射で東京タワーを破壊。(1965年「大怪獣ガメラ」)
1966年:ロボット怪獣・ガラモン、東京タワーを腕の力でへし折る(1966年「ウルトラQ」第14話)
1967年:キングコングとメカニコング、東京タワーにおいて激突。タワーの鉄骨が折れ曲がる。(1967年「キングコングの逆襲」)
1968年:大怪獣・ガメラ、再度東京タワーを破壊。(「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」)
1971年:怪獣・ノコギリン、レーザーで東京タワーを破壊。(1971年「帰ってきたウルトラマン」第26話)
1972年:宇宙怪獣・ガイガン、東京タワーをへし折る。(1972年「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」)
同年:超獣・ベロクロン、東京タワーをへし折る。(1972年「ウルトラマンA」第1話)
1995年:怪獣・ギャオスに放たれた陸上自衛隊のミサイルが東京タワーに誤爆。倒壊。(1995年「ガメラ 大怪獣空中決戦」)
2004年:ゴジラがモスラに放った放射能熱線がモスラを逸れ、東京タワーを直撃。倒壊。(2003年「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」)


なるほど。東京タワーが完成してからのこの46年間の間で、何と11回も破壊されている。

多分、これで全部では無いだろうから(例えば「マグマ大使」のパイロット版の予告映像には。東京タワーが破壊される描写がある)、東京タワーはもっと怪獣による破壊の洗礼を受けているのだろう。

特に昭和時代は凄い。ほぼ毎年破壊され続け、1972年(昭和47年)に至っては、2回連続で破壊されている。これは多分、物凄い勢いで東京タワーの復興が図られたに違いない。始めに書いたが、東京タワーの本来の役割は「総合電波塔」なのだ。ほうっておくとテレビも見れなくなる。それは困る。だから多分、破壊された他の建築物を無視してまでも、建築業者は東京タワーの復興に尽力したのだろう。

だが、この復旧作業、実はツメの甘さが垣間見える。
何故かと言うと、この東京タワー。きちんと同じ高さで復旧していないという疑惑が66年に持ち上がったのだ。

66年に飛来した宇宙怪獣・ガラモンが東京タワーを破壊した時、東京タワーの高さは、40メートルであるハズのガラモンより少々高いぐらいの高さだった。
また、72年には、カンタンに65メートルのガイガンが腕で倒せる高さであったという事実もある。

もはやこの世界では、東京タワーは「日本一高い観光名所」という名目を果たしていなかったのだろうと思われる。