前々からウワサは聞いていたがホントだったのか、う〜ん、残念だ。宮崎あおいが「NANA2」(12月9日公開)を降板するのだ。後任が市川由衣なんて…イメージ違うよなぁ。そういえば、どっかの週刊誌が「宮崎あおいが中島美嘉に絶縁状を叩きつけた!」なんて書いてたけど、そればかりはホントではないと祈りたい。
宮崎あおいは今の邦画界にとっては大事な逸材だし、あんまり悪い話は聞きたくない。演技も上手いからね。

それにしても、昨年同時期に降下された「タッチ」がいまひとつの出来だったのに対し、「NANA」は名作だったから今回の降板劇は非常に残念だ。

ただ、「NANA2」が正月に公開とあって、久々に東宝の正月映画の興行が潤いそうでそっちの方は期待している。
東宝の正月映画といえば、昨年の「あらしのよるに」が18.8億円の興行収入を記録した。同作は作品的には素晴らしかったが低調だった「ゴジラ」の後釜として鳴り物入りで封切られた割にはあまり振るわなかった印象だった(参考:02年「ゴジラ×メカゴジラ」19.1億、01年「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」27.1億)。
来年には織田裕二主演の「椿三十郎」が控えてることだし、是非「NANA2」には頑張ってもらいたい。

なお、東宝の正月映画に怪獣映画以外の実写映画がプログラムされるのは90年末の「山田ババアに花束を」以来16年振りである。とはいえ、この作品は興行的には失敗(だからこそ、集客力の望める怪獣映画が10年以上登板したのだが)。そういう意味でも、この「邦画好調」の流れに乗って、「NANA2」の力で東宝の正月映画を“復活”させてもらいたい。
個人的には良かったし。面白かったんだけど、「戦国自衛隊」みたいにまた叩かれるんだろうなぁ・・・。

やっぱり、「リメイクは叩かれる」の宿命からは、本作も逃れることは出来ないのだろうか?


まぁ、とにかくあまりオリジナルの「日本沈没」にこだわってはならない。アレと同じコトを今やっても、あんまり意味ないんだからさぁ。

(以下、後日)
「ドラえもん」に真保マジック…人気作家が「新魔界大冒険」脚本

 来春公開の映画「映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い」(寺本幸代監督)の脚本を、人気小説家の真保裕一氏(45)が手掛けることが11日、分かった。

 映画化された「ホワイトアウト」をはじめ「連鎖」「奪取」などベストセラー小説を連発している真保氏は、熱烈なドラえもんファン。アニメ制作に携わりたいと、同作を手掛ける「シンエイ動画」に入社した経歴を持つ。その後、作家への道を進んだが、現在も同社のチームで草野球を楽しんでおり、関係者とは交流が続いていた。

 今作は1984年に藤子・F・不二雄氏が執筆した「のび太の魔界大冒険」が原作。“もしもボックス”で現実の世界を魔法の世界に変えたのび太たちが、地球の危機に立ち向かう。脚本は原作にはなかった現実世界と魔界世界のリンクが描かれるなど“真保テイスト”が満載だという。

 ドラえもん史上初の女性監督となる寺本幸代監督(30)は「『魔界大冒険』は特に好きな作品ですが、脚本はさらにパワーアップしています」。原作に新たな命を吹き込んだ真保氏は「今は小説なんぞ書いている身だが、こうして夢のひとつがかない、誰より興奮している自分がいる」と喜んでいる。



先週の放送でチラッと映像が流れたが、やはりまぁ、驚きだ。

とにかく、詳しいことはまた後で。
 
さて、今日から不定期で25年以上前に公開された、邦画の傑作を紹介していこうと思う。
1回目は「日本沈没」だ。

深海潜水艦・わだつみのなかで日本海溝の異変に気づいた小野寺と田所博士。二人は政界・財界のトップによる“D計画”のために働くことになり、綿密な調査の上、恐るべき推測に到達する。日本列島が海に沈もうとしているのだ……。
 

「日本沈没」は、小松左京のベストセラー小説を軸に、1973年に劇場公開された作品である。監督は「八甲田山」の森谷司郎。主演は小林桂樹、藤岡弘(現:藤岡弘、)、いしだあゆみ。日本映画界に“パニック映画”というジャンルを加えた、記念すべき作品である。
ちなみに、当時の観客動員数は空前の650万人。配給収入は20億円。この数字は以後1993年まで東宝の正月映画の記録を保持し続けた。
本作のヒットを受け、翌年にはTBSでドラマ版も放送されている。

さて、そういうワケで「日本沈没」である。
もう公開は今から遡る事30年以上前になってしまったのだが、この作品は、今見ても古さを感じない“何か”を感じさせる作品になっている。何を隠そう、本作で描かれている出来事は、実際に起こり得るのだ。所詮はただのディザスター・ムービーとの捉え方も出来なくはないが、平和ボケした日本人の一人として、本作を見て危機管理などについて考え直せれば、それに越したことはないであろう。
とにかく本作は何が優れているかといえば、日本沈没までの科学考証と、有無を言わさぬ自然災害の素晴らしいスペクタクルシーンの描き方だ。特に科学考証に関しては特筆に値するのではなかろうか。だいたいこういう題材を作品に扱うと、ムリに説明っぽくなるのは否めないが、本作は冒頭から恐怖感を煽りつつ、日本沈没までの過程を示しているのでそういった心配は皆無だ。また作品の登場人物が「分かりやすく説明して欲しい」などと登場する科学者陣に意見したりするので、実に見ている側にとっても分かりやすい。アラを探せば日本が沈没するのに、周辺の朝鮮・ロシアなどが被害を受けない、なんてことは有り得ないんだが、お話の根幹がしっかりしているので、見ている間は意外と気にならなかったりする。
もう一つ、本作の最大の見せ場であるのが、その度重なる自然災害のシーンである。日本沈没の予兆であり、本作最大の見せ場であるのが東京大地震のシーンなのだが、これがもう素晴らしいの一言である。個人的な話で恐縮だが、本作を鑑賞する前はオイルショック真っ只中に製作された作品ということで、特撮部分に関しては全く期待していなかったのだが、その事を謝りたくなるほど見事な出来に驚いた。マグニチュード8の大地震が東京を襲うといったシークエンスなのだが、従来の怪獣映画などで描かれた爽快感という意味の破壊シーンは影を潜め、迫り来るような恐怖感を煽った破壊シーンを演出している。中でも高速道路が崩壊するシーンや、津波の濁流が人々を飲み込むシーンは、あまりの迫力に言葉を失うだろう。また火災によって人々が火だるまになるシーンや、関東大震災で実際に起こったという、道路に焼死体が並ぶシーンなどショッキングなシーンも登場するので、娯楽映画として見るとショックを受けるかもしれない。その他名場面として東京湾沿岸のガスタンクが大爆発するシーンや、70年代になって新たに見られるようになった、高層マンションの崩壊など、特撮的な見所は多い。ちなみに、特撮を担当したのは後期「ゴジラ」シリーズで特撮を担当した中野昭慶。当時としては破格の5億円の予算を使い、当時最高の特撮技術で恐怖感を醸し出している。

さて余談だが、有名な話なのでこの東京大地震に関する裏話を紹介しておこう。本作が公開された当時、この東京大地震における高速道路崩壊シーンに関して、原作の小松左京氏は評論家連中から「そんなことは有り得ない」と総スカンを食らったそうだが、1995年の阪神大震災における阪神高速崩壊により、小松氏の仮説が正しかったことが22年ぶりに証明されたのだ。これには小松氏自身も驚いたという。とはいえ、当然これは喜ばしいことでも何でもなく、日本人の危機管理の無さを改めて感じることになるという、皮肉な話になったのだ。
(ちなみに、高速道路から話は逸れるが、日本人の危機管理の無さを思い知ることが出来る映画に「東京原発」がある。少々暗喩的なきらいもある作品だが、一見の価値アリなのでおすすめ)

さぁ、話を戻すが、ここまでで如何に本作が素晴らしい作品かがわかって頂けただろうか。それにより、鑑賞意欲を掻き立てて頂ければそれに越したことはないのだが。

でももう少し語らせてもらおう。
先ほども語ったが、本作の特撮シーンは非常に素晴らしい。前述の東京大地震の他、日本映画初となる富士山の大噴火のシーン。何よりこの噴火シーンは、ミニチュアによって撮影されたのだが、ミニチュアに全く見えないのだ。マグマの流出なんか、実際に現場に行って撮って来たんじゃないかと思うぐらいの出来で、ホントにこんな作品が30年以上も前に製作されたのか、と疑りたくなるほどの出来。
また日本各地に押し寄せる大津波や、崩壊した後の素晴らしい東京のセット。更に沈没間際の日本列島の遠景など特撮的な見所は多い。

と、何やら特撮ばかり大いに語ってしまったが、本作のホントの見所は重厚な人間ドラマにある。中でも、小林桂樹の演じた田所博士は本作を彩る重要人物だ。「日本沈没」というあまりに破天荒なことを警告したので、当初は“キチガイ”(※)扱いされたマッド・サイエンティストとして描かれるが、後に彼の予言が皮肉にも的中したことから、一気に緊張感を盛り上げる。特に彼のラストシーンは圧巻だ。
また田所博士と同時に強烈な存在感を示すのが、丹波哲郎演じる山本総理だ。日本映画でここまで強烈な印象を残す総理大臣は、あまり見たことが無いのだが、意外な名言を言ったりなど、物語の重要部分に絡んでくる。その分、本来主役であるハズの藤岡弘、いしだあゆみ組の描写が印象に残らないが、ラストに悲しいシーンが待っているので、そちらに期待して欲しい。また人間ドラマとしては、日本沈没における諸外国や国連の対応を描いた描写もリアルで素晴らしい。
そして特にショッキングであったのが、日本沈没に対する「何もしない」という対応を提案するシーン。これは強烈な印象を残すことだろう。


というワケで、日本映画初のパニック映画として、実に素晴らしい出来である作品であったことがご理解いただけただろうか。未見の方は是非ご覧になって欲しい。
余談だが、東宝は翌年にも「ノストラダムスの大予言」という大ヒット・パニック映画を製作しているのだが、諸般の事情によりソフト化していない。理由は、ラストに登場する軟体人間が、何かの規定に引っかかるとかいうことらしいのだが。早期のDVD化を望む。


さて最後に今年公開されるリメイク版の話をして、本項を締めくくろう。
昨年の10月に各メディアで報道されたので、ご存知の方も多いと思うが、今年の夏にリメイク版が公開される。監督は「ローレライ」の樋口真嗣で、特撮は「亡国のイージス」を担当した神谷誠が担当するという。主演は草?剛、柴咲コウ。登場人物名はそのままで、オリジナルでいしだあゆみが演じた阿部玲子がハイパー・レスキュー隊員の役になったり、田所博士に豊川悦司が起用されたり、新たに官房長官や危機管理大臣が登場したりと、「戦国自衛隊1549」同様オリジナルとはかなり違った作品に仕上がることが予想されるが、予告編を見た個人的な感想では、実に期待できる作品に仕上がっていると思う。
オリジナルでは見れなかった海の底に沈んだ大阪のシーン(オリジナルでは、沈没後の都市は描かれなかった)や東京以外の具体的な破壊シーンなども見られるようなので、今年の夏を期待して待って欲しい。

そのリメイク版を楽しむためにも、このオリジナルを一度ご覧になって見てはいかがだろう?




(※)現在は不適切とされている言葉だが、73年当時は日常的に使用されていたものだった。








「日本沈没」
製作:田中友幸 原作:小松左京 脚本:橋本忍
音楽:佐藤勝 特技監督:中野昭慶 監督:森谷司郎

田所雄介:小林桂樹 小野寺俊夫:藤岡弘 阿部玲子:いしだあゆみ
渡老人:島田正吾 邦枝助教授:中丸忠雄 片岡:村井国夫
結城達也:夏八木勲 吉村秀夫:神山繁 山本総理:丹波哲郎

封切:1973年12月29日 観客動員数:650万人

2005年度総括

2006年3月29日 映画
本数的には多くない(ってか少ない)が、一応やる。

以下5段階評価。
かなり甘めだけれど、だいたい見終わってから素直に「面白かった」といえた作品には、星が4つか5つ付いている。

   「ローレライ」☆☆☆☆半
   「香港国際警察 / NEW POLICE STORY」☆☆☆☆☆
   「名探偵コナン 水平線上の陰謀」☆☆☆☆☆
   「交渉人 真下正義」☆☆☆☆
   「機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者」☆☆
   「戦国自衛隊1549」☆☆☆☆☆
   「スターウォーズ エピソード3 シスの復讐」☆☆
   「亡国のイージス」☆☆☆☆
   「まだまだあぶない刑事」☆☆☆
   「劇場版超星艦隊セイザーX 戦え!星の戦士たち」☆☆☆☆
   「劇場版甲虫王者ムシキング 〜グレイテストチャンピオンへの道〜」☆☆☆
   「あらしのよるに」☆☆☆☆☆
   「Mr.&Mrs.スミス」☆☆☆半
   「THE 有頂天ホテル」☆☆☆☆半
   「最終兵器彼女」☆☆☆☆
   「機動戦士Zガンダム3 星の鼓動は愛」☆☆
   「ドラえもん のび太の恐竜2006」☆☆☆☆☆
   「ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女」☆☆☆
   「THE MYTH 神話」☆☆☆

  DVDで見た2005年度公開作品
  「宇宙戦争」☆
  「星になった少年」☆☆☆☆☆
  「妖怪大戦争」☆☆☆
  「チャーリーとチョコレート工場」☆☆☆
  「NANA」☆☆☆☆☆
  「ステルス」☆☆☆☆
  「タッチ」 ☆☆☆  

   TV放映で見た作品(2006年1月〜3月)
  「NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE」☆☆☆☆
  「インデペンデンス・デイ」☆☆☆
  「ドクター・ドリトル」☆☆☆☆
  「みんなのいえ」☆☆☆
  「ラヂオの時間」☆☆☆☆
  「T.R.Y」☆☆☆
  「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」☆☆☆☆☆



本来はこんな括り方はしないんだけれど、年末が大変忙しかったのでこういう総括的なことが出来なかった。だから今回は一応4月〜3月という「年度」で括ることにした。

最初にも書いたが1年間で劇場において鑑賞した作品が19本というのは正直言って多くない。確かにDVDで鑑賞した作品(旧作を含める)と合わせると鑑賞した作品は100本を超えるんだが、映画好きからすると大したことのない本数であることは至極承知だ。しかし言い訳させてもらうが、私はまだ学生である。時間的にも経済的にもそんなに何度も何度も劇場に足を運べるほどの環境には恵まれていない。
そんな人間の総括であることをご了承頂きたい。これが私にとっての限界である。

さて、2005年度というのは、私は福井晴敏イヤーであったと勝手に考えている。かなり話題になったので皆さんご存知だとは思うが、昨年は「ローレライ」「戦国自衛隊1549」「亡国のイージス」といった諸作品が公開され、全作品が興行収入15億円以上を記録する(「ローレライ」24億、「戦国自衛隊1549」17.1億、「亡国のイージス」20.6億)という大ヒットぶりであった。世間の評価は様々だったようだが、個人的にはどれも面白く感じられたように思う。それと同時にこの3作は日本映画界に大きく貢献したのではないかともいえる。
何故そうなのかといえば、何を隠そう日本の特撮技術が久々に評価されたということが大きい。これまで日本映画で特撮を駆使出来る作品は、怪獣映画しかなかったのだが、こうした戦争ものやアクションものによって、日本の特撮技術が進歩するのは誠に素晴らしいことだ(これは「男たちの大和」にも言えることだろうが、いろんな事情が重なってこっちは未見)。これによって「日本映画は地味」という固定観念が取り払われたのも、邦画ファンとしては嬉しい。思い返せば一昨年も「CASSHERN」や「デビルマン」「キューティーハニー」なんていう“特撮もの”があったようだが、これがどうしてこんな出来になるのだろう、といった「?」が付くようなシロモノばかりだったことを考えると、如何に今年度で日本映画全体が前進したことが伺えるだろう
おっと忘れてはならないのが、これらの作品に遅れて公開された「最終兵器彼女」である。人気漫画の映画化である作品で本来は今流行りの“純愛もの”のようだが、私はれっきとした特撮映画として認めてイイと思う。特に冒頭の札幌空爆のシーンは大迫力だった。若干アニメっぽいところも見られたが、ミニチュアではなくCGによるビル破壊シーンを成功させた、邦画としての初めての例ではないだろうか。またリアルに作られたモブ・シーンも素晴らしい。個人的にはモブ・シーンはもう何度も見てきたが、54年の「ゴジラ」以来久々に恐怖を感じさせるものを見れた。監督の須賀氏には、これを起に特撮映画をまた撮って欲しい。まぁ、それによって日本の特撮の主流がミニチュアからCGに成り代わったら、違う意味で複雑ではあるが。
さて、ところでこの作品。前出の「戦国自衛隊」同様、オリジナル(原作)のファンからの評判は散々だったようだが、もう少し評価されてもイイのでは(私自身、原作を未読だからこそ、言えるのかもしれないが)。ちなみに6月にDVDが発売されるようなので、時間があれば単独のレビューを予定している。

他にも特撮の名作はまだまだある。それが「劇場版超星艦隊セイザーX 戦え!星の戦士たち」である。現在放送中のTVは未見だが、「ゴジラ」不在の正月の東宝特撮映画を見事に支えた出来である。とはいっても上に付けた☆4つは、海底軍艦・轟天号のために付けたといっても過言ではないが。。。
何ていうか、まさか21世紀にあの「轟天のテーマ」を聞けるとは思えなかった。そして見事な冷戦砲の描写が見れるとはもっと思っていなかった。とにかく轟天一機だけでお腹一杯になれる映画だとは思う。

一方、特撮以外に目を向けてみると、全く期待していなかった「NANA」が予想以上の出来であったことに驚いている。原作は相変わらず未読なのだが、そんな私でも楽しめた。原作ファンに言わせれば「あそこが足りない」だとか色々あるようだが、1巻から13巻までの13冊をよくこれだけ綺麗にまとめたな、と関心している。そしてまた久々に次回作が見たいと思える作品だったことも特筆に値する。具体的にいえば、面白かったのは“ストーリーのわかりやすさ”のおかげであるだろう。ところどころ回想シーンが挿入される本作だが、小松奈々役の宮崎あおいの視点を中心に描く(例外的なシーンもあるが)ことによって、観客はすんなり主人公の二人に感情移入出来るのだ。
まぁ、それだけ原作が優れている、とも言えるのだが。

その他邦画作品は「星になった少年」「THE 有頂天ホテル」「交渉人 真下正義」などなかなかよく出来た作品が多かった。とにかく昨今の“邦画好調”の動きは実に嬉しい。最後の最後でよくわからんシーンを入れてイマイチだった「妖怪大戦争」や、TVの2時間ドラマみたいな「まだまだあぶない刑事」なんていう微妙な作品もあったが、「あっ、こりゃ外したなぁ」というような作品は、(少なくとも私が見たなかでは)無かったように思う。

こうなってくると、日本アカデミー賞を総なめ(これに関しては不本意だったが)した「ALWAYS 三丁目の夕日」、個人的な事情で鑑賞できなかった「容疑者 室井慎次」などまだまだ邦画には名作があるようなので、時間が許す限り鑑賞したい。

邦画ばかりの話になってしまったが、続いて洋画に関する話もしたいと思う。とはいっても、洋画をほとんど見てないので、総括も何もあったもんじゃないんだが。
とにかく言える事は、昨年の二大大作である「スターウォーズ エピソード3 シスの復讐」「宇宙戦争」とにかくひどかったということか。まず「SW」のほうだが、初心者にここまで不親切な映画は珍しい。一応、有名なメインタイトルでの状況説明はあったが、ほんの数秒で状況が理解出来るほど人間上手く出来てない。鑑賞中は初心者なりに「SW」に関する知識を総動員して見たが、そのせいで終わってから「面白かった」といった感想は微塵も浮かんでこなかった。初心者に不親切なのは、過去の作品を売り込もうというルーカスのブラック・ジョークだろうか。まぁ、特撮だけは凄かったが。
さらにひどかったのはその「宇宙戦争」だ。この作品に関しては出来の悪い怪獣映画のレッテルを貼らざるを得ない。公開時「(この作品は)スピルバーグから東宝へのメッセージです」みたいなことが言われていたが、怪獣映画の監督としては、スピルバーグはまだまだなようだ。何がダメかって、「宇宙戦争」というタイトルなのに「戦争」を描いてない。このストーリーだったら「宇宙怪獣襲来す」にすればイイのに。まぁ、それだけでこの作品を一つ星にするのは酷だが、ラストのオチへの持っていき方が最低で、見終わった後拍子抜けを食らうのが一番の理由だ。また日本で話題になった「大阪云々」のセリフも「何で?」といった疑問ばかりが浮かんでだんだんそれが怒りに変わってくる。緊迫感とリアルな宇宙人はさすがだが、これではエンターテインメントとしてはひどすぎる。
まぁ、スピルバーグをコケにしてしまったが、エメリッヒよりはまだマシではあったことを付け加えておこう。

これら対して「香港国際警察/NEW POLICE STORY」は手放しで楽しめる傑作だった。詳しいことは公開時にレビューを書いたので省くが、とにかく傑作。「宇宙戦争」を見るんだったらこっちを見ることを深くオススメする。

さて長くなったが、最後にアニメの話をしてこの総括を締めくくろう。
今年度の最高傑作は何を隠そう「映画ドラえもん のび太の恐竜2006」だ。前回の記事で詳しく書いたがとにかく素晴らしいの一言。年中行事と化していた「ドラえもん」映画だが前作「ワンニャン時空伝」に続いて来年が楽しみになる出来だった。

続いて正月映画として公開された「あらしのよるに」もなかなかの傑作。声優と主題歌に著名人を起用するなどして、違和感が少々心配な本作だったが、主題歌「スター」がタイアップに止まらず世界観に上手くマッチしているのを初め、作画も大変綺麗で子供から大人まで楽しめる良作に仕上がっている。見終わって暖かい気分になれたのもこの作品の功績だった。
余談だが、「ゴジラ」が休暇中の今、東宝は春、夏、冬、GWの全長期休暇中のラインナップがアニメで占められたことになる。まぁ、後世にイイ作品を残すためには定期的に子供たちが支持するアニメ作品を公開することはイイことなんだが。

反対に「ガンダム」は散々だった。「SW」の時も書いたが、どうしてここまで初心者に不親切なのか。私は幼い頃からこういったロボット・アニメには専ら興味が無く、今回の鑑賞も友達に引きづられて嫌々行ったのだが、作品の出来も睡魔との闘いになるという“最悪な状況”だった。ホントは一つ星を付けたいトコなのだが、私の世界観の勉強不足ということであえて二つ星。
でも「ドラえもん」「コナン」「クレヨンしんちゃん」など小学生以上をターゲットにした作品は毎年こうも出来がイイのに、青年層をターゲットとした作品はどうしてここまで出来が悪いのだろう?



ということで、長くなったが以上が2005年度の総括だ。
本来ならまとめるためにナンバー1を決めるんだろうが、今回はそういうことはしないことにする。

2005年度は日本映画が大きく飛躍した年だったワケだが、こうなってくると気になってくるのが、今年・2006年度だ。
正直言って、各社のラインナップを見て私が期待しているのは「日本沈没」だけ。昨年に比べるといまひとつ“パッとしない”のが私の印象だ。





まぁ、今年も“良い意味で期待を裏切って”欲しい。 
最優秀作品賞=「ALWAYS 三丁目の夕日」▽監督賞=山崎貴(ALWAYS 三丁目の夕日)▽主演男優賞=吉岡秀隆(同)▽主演女優賞=吉永小百合(北の零年)▽助演男優賞=堤真一(ALWAYS 三丁目の夕日)▽助演女優賞=薬師丸ひろ子(同)▽脚本賞=山崎貴・古沢良太(同)▽音楽賞=佐藤直紀(同)▽撮影賞=柴崎幸三(同)▽照明賞=水野研一(同)▽美術賞=上條安里(同)▽録音賞=鶴巻仁(同)▽編集賞=宮島竜治(同)▽外国作品賞=「ミリオンダラー・ベイビー」


・・・と、ドーンと見出しが付いているようだが、実を言うと、私はこの結果に不服だ。
確かに、「ALWAYS 三丁目の夕日」は興行的にも成功し、各方面からの評価も高かったが、これじゃあ去年の日本映画は「三丁目の夕日」しか無かったと言わんばかりに。
一応、新人俳優賞や協会特別賞などの“その他”の賞には「亡国のイージス」の勝地涼だとか円谷プロか何かが選ばれたようだが、あくまで“その他”なんだよなぁ。

要するに何が言いたいかといえば、「三丁目の夕日」がこれだけ受賞したのは、この作品が日本テレビ製作だからという理由に過ぎない。

過去にも13部門を独占した「Shall we dance?」だとか、「たそがれ清兵衛」だとか、日テレと強いつながりを持っているからこそ、これだけ多くの賞を受賞したんじゃないかという作品は山ほどあるし。あと日本テレビと強いつながりを持っているジブリ作品だとかもコレに該当するな。

だから、黒澤明も「権威が無いから」という理由で、この受賞を辞退したのだ。

まぁとにかく、日本アカデミー賞は既に「日本テレビ映画大賞」になっているのが問題なのだ。
一応、日本で一番大きな映画賞なんだから、もう少し公平な目線で日本映画全体を見渡して欲しい。


他にもイイ映画は、いっぱいあるんだから。
さて、昨日の続き。
今日は前置き無しでレビューに入ろう。

(5)「ガメラ対大悪獣ギロン」
シリーズ5作目。前回のバイラスに続き、再び宇宙怪獣がガメラを襲う。今度の敵はナイフのような容姿を持つ、大悪獣ギロンだ!
ストーリーは、突如現われたUFOに乗りこんだ明夫とトムは、宇宙へと連れ去られ、謎の惑星の女宇宙人に捕えられてしまう。二人を救いに来たガメラは、宇宙人の番犬怪獣・ギロンと戦う!

前作があまりにも酷かったので、全く、いやホントに期待してなかったんだが、しなくて良かった。いや、前作よりは数倍マシなんだが、決して面白いと言えるシロモノではない。何を隠そう、敵の宇宙人は二人しか出てこない。星の生き残りだとかいう説明はされているけど、明らかな人件費の削減。物語もほとんど敵の惑星で繰り広げられるので破壊のカタルシスも無く、緊迫感も薄い。だいたい、劇中でバイラス星人のことが語られているのに、大人たちの誰もが宇宙人を信じていないこと自体矛盾しているので拍子抜け。それに肝心の宇宙人だって、二人じゃ侵略もクソもあったもんじゃない。見せ場であるハズのガメラ対ギロンの対決も相変わらず単調で盛り上がらないことこの上ない。申し訳程度に出てきた宇宙ギャオスとの対決のほうがよっぽど盛り上がったぞ。
シリーズも後半。そろそろシリーズにかげりが見えてきたのだろうか?見せ場はガメラの鉄棒における大車輪のみか。

(6)「ガメラ対大魔獣ジャイガ−」
大阪万博を舞台としたシリーズ6作目。ガメラにウェスター島の怪獣・ジャイガーが襲い掛かり、大阪で激突する。
万博会場に展示しようとしていた、ウェスター島の「悪魔の笛」の影響で大魔獣・ジャイガーが蘇ってしまった。大阪に上陸し、破壊の限りを尽くすジャイガーに立ち向かうガメラは、体内に卵を産み付けられてしまった。果たして、ガメラの生死やいかに・・・。

久々の力作の(ような気がする)作品。前作、前々作ととんでもない作品が続いたが、今回は少なくとも映画として一つの形を成している。時事的な万博をストーリーに絡めたのはなかなか上手いし、物語的にも破綻していない。当たり前のことだが、昭和ガメラでは破綻していないことのほうが少ないんだから仕方が無い。何より嬉しいのは久々に破壊シーンがあることだ。ジャイガーが大阪の街を破壊するシーンは、久々にガメラ映画が怪獣映画であることを思い出させてくれる。ガメラの体内に産み付けられたジャイガーの子供を撃退しに行くシーンも、多少の無理はあるものの、それなりに楽しませてくれる。ところが、せっかくガメラが蘇ったというのに、ラストの万博会場での決戦シーンがどうも盛り上がらない。これはガメラシリーズ全てにいえることだが、どうも対決シーンが物足りないんだよな。さすがにパビリオンを壊せとは言わないが、大阪城はバトルの過程で破壊しても良かったのではなかろうか。(その代わりに通天閣を倒すシーンはあるが)。マグネチューム光線は面白い武器だし、もう少しアイデアを練れば、「バルゴン」を超える名作になったんじゃないかなぁ?
最終的に盛り上がりに欠けるので、結局のところ佳作に終わってしまった作品である。

(7)「ガメラ対深海怪獣ジグラ」
71年に公開された7作目。社会問題となっていた水質汚濁を絡めた意欲作。深海怪獣ジグラがガメラを襲う。
ストーリーは、地球征服のためにやってきたジグラ星人は地球人を操り、自らの科学力を見せ付けるために東京にマグニチュード13の地震を起こして降伏を迫る。ところが、ジグラ星人はガメラに宇宙船を壊された上に、母性と異なる海の水圧で怪獣・ジグラに巨大化してしまった。ジグラを倒すためにやってきたガメラと鴨川シーワールドを舞台に地球の存亡をかけた戦いが始まる・・・。

事実上の昭和シリーズ最終作(何故かは後述)。またもや宇宙人ネタ。マンネリが完全に露になった作品。違うところは地球人が操られるといったことぐらいか。何ていうか今作は、子供を絡めたためにムリが重なりすぎた作品。映画を見ればわかるが、いくら何でもあんなにカンタンに宇宙船から脱出したり、物語に絡むことは不可能。ご都合主義の典型だ。でもそれがガメラなんだから仕方ないか。
また宇宙人の設定にしてもムリがありすぎ。水圧で巨大化するのは考えたな、とは思ったが、東京に大地震を起こすのは何故?だいたいマグニチュード13なんて地震を起こすメカニズムがわからない。ってか、マグニチュードが1上がるとエネルギーは32倍になるんだから、マグニチュード13なんてとんでもない数になると、東京タワーがぐんにゃり折れるぐらいで済むハズがない。それに、東京が地震に襲われるのに鴨川が無事なのもワケがわからない。さらに言えば地震のシーンが全くないので緊迫感もゼロ。「日本沈没」みたいに迫力ある映像は期待してないけど、せめて地震の過程ぐらい見せろよな。
ガメラとジグラの対決なんかはもう言うまでも無い。最後はガメラの火炎噴射のみで片がついちゃうので、バトルのカタルシスはあまり楽しめない。
とにかく、ムリにムリが重なった作品。大映も倒産間際だったわけで、かなり苦しかったのかもしれんな。

(8)「宇宙怪獣ガメラ」
1980年に公開された番外編。過去の作品のライブフィルムを使い、宇宙ギャオス以外の全ての怪獣が登場する。
ストーリーは、地球征服を企むザノン号は、ギャオス、ジグラ、バイラス、ジャイガー、ギロン、バルゴンの6大怪獣を地球に送り込んできた。コレに対し、我らがガメラが立ち向かう!

どうもガメラ映画は「4」の倍数が付く作品はどうしようもない出来になるようで、2度目の爆弾が投下された。いや、「ギロン」も「ジグラ」もひどかったけど、今回はそれの比じゃない。「バイラス」さえも越すかもしれない。
何故かと言えば、驚くなかれ特撮シーンのほとんどは過去のシリーズのフィルムの使いまわしなのだ!確かに、ゴジラ映画にも「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」という流用満載の作品があったが、あちらは最終決戦は新撮だったし、何より人間ドラマがしっかりしていたので違和感は少なかった。しかし、本作は特撮を流用するために人間のドラマをくっつけたとしか思えない。まぁ、過去の作品の総集編と位置づければ見れなくも無いが、だったら人間ドラマをしっかりして欲しいなぁ。ところどころに登場するマッハ文朱の変な踊りは失笑モノだし、何より登場人物たちに感情移入できない。特撮も過去の流用ばっかで面白くも何ともないし、やっと新撮があるかと思えばゴジラを馬鹿にしたようなシーンだった。わざわざ追加するようなシーンなのだろうか?冷めるだけだぞ。またガメラと宇宙戦艦ヤマト、銀河鉄道999の共演シーンなんか唐突すぎて訳がわからん。
良かった点は、各怪獣が登場するたびに名前をテロップ表示したこと(何故かバイラスは「宇宙怪獣」でなく「水中怪獣」となっていたが)とナレーションが「奥様は魔女」の中村正だっだこと。正直言って、それだけ。






さて、次回は昭和「ガメラ」のまとめ。そして平成との比較について語っていこう。それでは。







「ガメラ対大悪獣ギロン」
監督:湯浅憲明 特撮:藤井和文
「ガメラ対大魔獣ジャイガー」
監督:湯浅憲明 特撮:金子友三
「ガメラ対深海怪獣ジグラ」
監督:湯浅憲明 特殊撮影:藤井和文
「宇宙怪獣ガメラ」
監督:湯浅憲明 特殊撮影:築地米三郎/藤井和文/金子友三(流用映像)
えー、お久しぶりです(^^;

最後に書いたのが8月24日だから、実に4ヶ月ぶりか。恐らくもう書くのをやめてしまったと思っていた方も多いだろう。まぁ、確かに最初はそのつもりだったんだが、一応冬休みに入った(まだ入っちゃぁいないんだけど)ということで、久々に更新してみようかと思った次第である。気付いてみれば、あれだけ語った「ゴジラ FINAL WARS」公開から一年だもんなぁ。

更新が滞っている間も40本以上の映画を見てはいるんだけど、それを全部書いていたらキリがないので、今日から2日間に渡ってまとめて書いてみようと思う。

さて、ということで、今回のテーマは「昭和ガメラ」である。


来年5月に公開される「小さき勇者たち 〜ガメラ〜」でガメラが久方ぶりに復活するということで、この機会に私はまだ未見であった昭和「ガメラ」シリーズを鑑賞してみることにした。「ゴジラ」のライバル会社である大映が送り出した怪獣映画ということで、素晴らしいシリーズを期待していたのだが、実際のところどうだったのだろう?

では、作品ごとに振り返ってみよう。

(1)「大怪獣ガメラ」
記念すべきシリーズ1作目。1965年製作にも関わらず、何故かモノクロで製作された作品。
ストーリーは原爆の爆発によって蘇った大怪獣ガメラが炎を求めて北海道に上陸する。人類はあらゆる手段で抵抗するが全く歯が立たない。やがてガメラは東京に上陸し、破壊のかぎりを尽くす・・・。

何だかどこかで聞いたことのあるようなストーリーだが、シリーズ1作目としては良く出来ているような気がする。ストーリーに原爆を絡めたり、口から火を吐いたり、東京を破壊したりとゴジラの2番煎じは否めないが、同時期のゴジラ映画が「怪獣大戦争」でエンターテイメント路線に移行していたころだから、当時は逆に新鮮たったかもしれない。しかしガメラの東京破壊シーンは結構物足りないし、スチール写真にあるような新幹線鷲掴みのシーンは本編には登場しない。特撮も「ゴジラ」に比べると格段に見劣りするし、あまり期待しすぎると楽しめないかもしれない。

(2)「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」
翌年にカラーで製作されたシリーズ2作目。ガメラの敵役として、冷凍怪獣バルゴンが登場する。
ストーリーは、ニューギニアの伝説の怪獣・バルゴンが謎の宝石から蘇り神戸に上陸。やがてバルゴンは大阪に現れ、口からの冷凍光線で大阪を氷づけに。そこにガメラが現れ、戦いを開始するが、ガメラも凍らされてしまう・・・。

「子供の味方」というイメージの強い「ガメラ」映画の中で唯一子供が登場しない作品。それだけに、ストーリーも人間のエゴを描いた大人向けの内容で骨組みもしっかりしている。ガメラとバルゴンの怪獣対決はとっても単調だが、バルゴンの神戸襲撃の迫力ある映像や、奇想天外なバルゴン対策など見所も多く、私はこの作品に昭和ガメラの最高傑作の称号を与えてイイと思う。後のシリーズのように子供が一切登場しなかったり、ガメラがまだ人間の敵であったりと、「子供の味方」のイメージが強い人には少々違和感があるかもしれないが、怪獣映画の在るべき姿を投影してくれたように思う(子供の味方が悪いと言っているのではない)。その分、ガメラがバルゴンと戦う必然性が感じられないが、人間の敵であるガメラもまた違った魅力があるだろう。特に前半のダム破壊シーンはダム決壊による濁流のシーンが素晴らしく、シリーズ最高の名シーンだろう。

(3)「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」
1967年公開のシリーズ3作目。ガメラの次に人気が高い(であろう)ギャオスの初登場作品。
ストーリーは、富士の異常な火山活動により超音波怪獣・ギャオスが蘇り、人々を襲い始めた。そこへギャオスを倒すためにガメラが飛んで来る。ガメラは子供をギャオスから救うが深手を負ってしまう。ガメラを撃退したギャオスはやがて人間を食うために名古屋に飛来するが・・・。

平成シリーズでも幾度と無く登場した人気怪獣・ギャオスの初登場作品。前回から一転して、完全に子供向けへの作風となった。それ自体を否定するつもりはないのだが、どうして人間を襲っていたガメラが、子供を救うために怪獣と戦うようになったのか劇中では一切説明されていないので、シリーズを通して見てみると違和感は否めない。しかしシリーズの転機になった作品として、大いに評価されるべき作品であると私は思う。
特撮はギャオスが操演丸分かりなのを始めとして相変わらず「ゴジラ」に比べると格段に見劣りするが、それでも、怪獣の武器に新たに「切断する」というモノを持ち込んだのは特筆に値する。それに人間を鷲掴みにする映像は、今見てもなかなか恐怖感に溢れる映像に仕上がっているといえるだろう(これでギャオスの着ぐるみの出来がもう少し良かったら・・・)。名古屋の破壊シーンは少々物足りないが、ガメラとギャオスの戦いはシリーズの中で一番楽しめるのではなかろうか。

(4)「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」
68年に公開されたシリーズ4作目。今度はイカのような容姿の宇宙怪獣・バイラスがガメラを襲う。
ストーリーは、地球征服にやって来たバイラス星人は二人の子供を捕らえてしまう。救出に出現したガメラも敵にコントロールされ、東京を破壊し始める。人類に明日はあるのか・・・。

さて、最後に爆弾を一発落としておこう
シリーズ4作目にして、究極の作品に出逢ってしまった。ストーリーだけ見てみると、なかなか面白そうなんだけれど、本編を見てみると、ここまで脱力感の拭えない映画があるのだろうか、とも思ってしまう。何を隠そう、緊迫感がまるでない。何だかやれ「国連」やれ「降伏」なんて言葉を出して無理やり盛り上げようとしているが、バルゴンやギャオスの時みたいに、本気で対策しているとはとても思えない。何かあっという間に降伏を決めてしまうし。これじゃぁホントに地球に宇宙人が来たら、終わりだな。
特撮もほとんど過去の作品からの流用。ガメラが東京を破壊するシーンは突然画面がモノクロになる。何故だろう?緊迫したシーンのハズなのに大爆笑してしまった。
しかし、この作品のミソはもっと他にある。劇中に登場するバイラス星人が、ガメラの記憶を15分で探るシーンが登場するのだが、何と聞いて驚くでない。回想シーンが20分も続くのだ!そんな馬鹿な、である。ホントのことだから仕方ない。過去3作品の名場面を、ご丁寧に人間ドラマも込みで見せてくれるのだ。それがやっと終わったかと思えば、またまた低調なドラマが続く。クライマックスのハズのガメラ対バイラスの対決も単調すぎてつまらないといったらありゃしない。
間違いなく、シリーズ最低の作品であることは必至だ。正直、怪獣映画を見て怒りを覚えたのは初めてだった。ひどいと言われる「ゴジラ対メガロ」を見たときもここまでの感情は浮かんでこなかったんだがなぁ・・・。

ある意味、爆笑の一作である。









さて、次回は「ガメラ対大悪獣ギロン」から「宇宙怪獣ガメラ」までを総括したいと思う。それでは。







「大怪獣ガメラ」(65)
監督:湯浅憲明 特撮監督:築地米三郎
「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」(66)
監督:田中重雄 特撮監督:湯浅憲明
「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」(67)
監督:湯浅憲明 特殊撮影:藤井和文
「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」(68)
監督:湯浅憲明 特撮:藤井和文
今日のお話は先日見てきた「スターウォーズ エピソード3」のお話。
実は見に行ったのは7月の終わりのほうなんだけど、時間が無くてレビュー書けなかったんだよね。

クローン大戦が勃発し、アナキン(ヘイデン・クリステンセン)とアミダラ(ナタリー・ポートマン)の秘密の結婚から3年後、分離主義者の勢力はますます拡大。共和国側は窮地に追いこまれていた。アナキンはシス卿のダース・ティラヌス(クリストファー・リー)を死闘の末に倒すが……。




いわずと知れた「スターウォーズ」シリーズの最終作。もともと「スターウォーズ」という作品は他のシリーズ作と違って、4.5.6→1.2.3という特異な作り方をしているワケなのだが、この作品はその位置関係から、「結末が始めから分かっている」というある意味貴重な映画作品である。
だがそれは、あくまで旧3部作を見ている人間からの視点なワケで、全くのスターウォーズ初心者な私は、そんなことは全く関係なかった。何を隠そう、「スターウォーズ」の「ス」の字も知らない私は、過去の作品を一切見ないでこの作品を鑑賞することに抵抗があった。だって、「オビワン」とか「アナキン」とか言われても、何が何だか全然わからない。ってか、帝国軍って何?シスって何?聞けば聞くほど頭がこんがらがるんですが・・・。



そんなレベルである。


幸い、「ドラえもん」の一エピソード「天井うらの宇宙戦争」(てんとう虫コミックス19巻収録作品)で、スターウォーズのパロディがあったので、R2−D2や、ダースベーダーに関しては知っていた(映画「のび太の宇宙小戦争」もそうか)。なので、最悪の事態(?)は回避できたわけで・・・。




さて、いささか前置きが長くなってしまったようだが、本題に入ろう。映画の感想である。

・・・うん、なるほど。
まぁ・・・面白いんじゃない?

映画の出来としては及第点かなぁ・・・?

上手く言えないんだけど。。。

何かフツーに文章にしてもまとまりそうな気がしないんで、以下感想を箇条書き。


・やっぱりシリーズをある程度見ておかないと鑑賞はキツイ。予備知識無しでも見れなくは無いけど、主人公の心の変化とかが掴みづらい。冒頭でこれまでの経緯を文章だけで説明されてもねぇ・・・。
・何故主人公が悪になってしまったのかが初心者にはわからん。
・SFXの技術はやっぱり素晴らしい。ところどころCGっぽさが目立ったが、さすがはハリウッド!
・何で溶岩に焼かれても生きれるの?



・・・うん。我ながら、何てまとまりの無い感想なのだろう(^^;

でもねぇ、見終わっていまひとつ内容が思い出せないのも事実なんだよね・・・。やっぱりシリーズものは、ある程度過去の作品を予習してから見ないといけないんだろうなぁ。。。







「スターウォーズ エピソード3 〜シスの復讐〜」
監督・製作総指揮・脚本 :ジョージ・ルーカス
製作:リック・マッカラム 音楽:ジョン・ウィリアムズ

出演:ヘイデン・クリステンセン/ユアン・マクレガー
/ナタリー・ポートマン/フランク・オズ
さてさて、お盆も後半に入ってUターンラッシュが始まったようだが、何だか最近私は忙しくて帰省もままならない。
とはいっても、好きな映画は欠かさず見に行ってるんだけどさ。
そういうワケで、今日のお話は、先日鑑賞した、映画「亡国のイージス」について。


国家に反旗をひるがえしたイージス艦副長・宮津二佐(寺尾聰)は、全ミサイルの照準を東京首都圏内にあわせる。国家への復讐(ふくしゅう)に燃える宮津から艦を取り戻すために、先任伍長・仙石(真田広之)は、過酷な闘いに挑むが……。



「ローレライ」「戦国自衛隊1549」に続く福井晴敏原作の映画・第3弾。それが本作「亡国のイージス」である。前2作はスタッフ・キャスト共に魅力的で私はとても楽しめたのだが、本作は正直な話、前情報などを聞いてもいまひとつピンと来なかった。いやいや、寺尾聰や中井貴一など日本を代表する俳優陣が出演しているし、ストーリーも予告編も期待できるものだった。
でも何だか違うんだよなぁ。

そんなコトを考えながら映画を見てみたんだが、映画の途中ぐらいで気が付いた。要するに、全体的に暗い印象なんだよな。何ていうか感傷的だったわけで・・・。
「ローレライ」にしても「戦国自衛隊」にしても何かしら“箸置き”的な存在が用意されていた(中尾くんとか)んだけど、今回は最初から最後まで暗いテンションで映画が続くから、気が休まらない。その辺に違和感を感じたのかもしれない。

でも、だからといって映画がつまらなかったかというと、そうじゃないんだよね。うん。面白かったよ。
個人的には「戦国自衛隊」のほうが好みだけど、全体的に濃い出来で、どちらかといえば軍事マニア(^^;の私にも楽しめた。まぁ、ある程度自衛隊とかそういった方面に詳しくないとキツイ映画ではあるかもしれない。そういった意味では怪獣映画に感謝だな(?)。また政治ドラマでもあるようなカンジがするので、そういったモノがうっとうしいと思うヒトにはあんましオススメ出来ない。
まぁ、つまり何が言いたいかっていうと、好みが分かれる映画ってコトかなぁ。最初から最後まで頭使わなきゃいけないし、「?」と思う部分も結構あるから、ボーっとしてると展開が速い分物語に置いておかれる気もする。波に乗れればとっても面白いんだけど。

不満点を挙げるとするならば、あのヒロインは何者だったんですか?


上映後に一緒に行った女友達と二人で首傾げたぞ。マジで。何ていうか、取って付けた様な役っていうか・・・。最後もアレ、スクリューに巻き込まれたってコトなの?その辺も描写不足。

一方技術的な面だけど、こっちは及第点かなぁ。ミサイル発射シーンは手に汗握ったし、アクションシーンもなかなか良かった。
・・・と思ってたら、ラストの東京湾のシーンにのけぞった。どうしてあんなチャチな合成になるの?ハイ、びっくりしました。今どきTVの特撮モノでもあんな不自然にはならないぜ?一体特撮誰がやったんだろう?と思ったら神谷誠さんじゃない。神谷さんだから、上手くやってくれると思ったんだけどなぁ。。。


総括すると、この作品は、好みの分かれる映画ということだね。特撮好きや軍事ファン、政治ドラマなどシリアスな作品に慣れている方にはとても面白い。でも、そういった予備知識的なモノが無いと2時間辛いかもしれない。







最後に余談。
上ではあんな風に書いたけど、一緒に行った全然自衛隊とか政治とかに興味の無い女友達は絶賛してました(^^;
上映中、普段良く食べる彼女の手が止まっていたから、こちとら終わった後「つまんない☆」とか言われるんじゃないかとヒヤヒヤしてたんだから。マジで。

そう考えると結構万人向けなのかなぁ、この映画・・・。
う〜ん、私もまだまだ「井の中の蛙大海を知らず」だねぇ。。。



あ、そういえば何でフーバスタンクの「THE REASON」を使わなかったの?CMであんなに流れてたのに・・・。挿入歌か何かじゃなかったわけ・・・?








「亡国のイージス」
原作:福井晴敏 脚本:長谷川康夫/飯田健三郎
音楽:トレヴァー・ジョーンズ 特殊技術:神谷誠 監督:阪本順治

仙石恒史:真田広之 宮津弘隆:寺尾聰
如月行:勝地涼 渥美大輔:佐藤浩市 服部駿:池内万作
佐伯秀一:佐々木勝彦 瀬戸和馬:岸部一徳 宮津芳恵:原田美枝子
梶本幸一郎:原田芳雄 ヨンファ:中井貴一

笑の大学

2005年8月6日 映画
しばらく映画レビューから遠ざかっていたが、夏休みで時間が出来たのでやっと何本か鑑賞することが出来た。
今日のお話は、映画「笑の大学」

舞台は昭和15年。日本は戦争への道を歩み始めていた。国民の娯楽である演劇は規制され、台本も上演前に検閲を受けていた。そんな時代に、警視庁の取調室で出会った2人の男。
1人は笑ったことがない男、
情け容赦ない検閲官・向坂睦男(さきさかむつお)(役所広司)
1人は笑いに命をかける男、
劇団・笑の大学・座付作家・椿一(つばきはじめ)(稲垣吾郎)
向坂は、このご時世に喜劇など上演する意味がないと考えている。

“笑の大学“を上演中止に持ち込むため、椿の台本に対して「笑」を排除するような無理難題を課していく。一方椿は、上演許可を貰うため、向坂の要求を飲みながらも「笑い」を増やす抜け道を必死に考えていく。しかし、執拗な向坂の要求は、皮肉にも台本をどんどん面白くする方向に向かってしまっていた。
いつしか2人は夢中で喜劇台本を創り始める。
やがて、2人が創り上げる傑作喜劇とは。
完成の瞬間、2人に訪れる宿命とは。



それにしても最近の邦画は面白い。
私は基本的にSF映画を中心に見る人なんだが、そんな人間でも楽しんで見ることが出来る。というか、最近は真正面からのコメディ映画であんまり無かったような気がするからなぁ。昔は「クレージー」シリーズとか「無責任」シリーズとかがあったけど。だがそんな世相の中でもこれだけのコメディを撮ったことは素晴らしい。やっぱり三谷幸喜は天才だ。三谷幸喜の作品といえばこれまで「ラヂオの時間」「みんなのいえ」などがあるが、これをキッカケにこれらの作品も見てみようかと思ったほどだ。
これまで何度も書いたが、映画というのは期待して見ると寧ろ外れることのほうが多い。それは傑作、駄作という意味だけではなくて、笑いのツボが違ったとか、想像していたものとはかけ離れたものだったとか、いろいろ理由はあるんだけれども、少なくとも今回の作品に至ってはそういった心配は皆無であった。
まず、私が惹かれたのはこの作品が完全なる「密室劇」に近いというコトだった。厳密に言えば舞台のシーンや劇団のシーンがあったりして、完全なる「密室劇」ではないのだが、121分ある物語の中の8割は向坂(役所)と椿(稲垣)の二人だけのシーンで構成される。通常「密室劇」というのは画面が固定され、映像が単調になるということで敬遠されがちなのだが、本作は見事なカットバックにより、密室にも関わらず動きのある画を作ることに成功している。これは偉業という他無い。

そんなカメラワークもさることながら、この作品の魅力は、登場人物の軽快な「セリフのキャッチボール」にあるだろう。思えば昔の映画はみんなこのキャッチボールが上手かったのだが、最近の作品は、そういった昔ながらの手法が若干忘れ去られていたように感じていた。だからこそ主役の二人の軽快な台詞回しは痛快だ。無論、役所広司という名優あってこそなのだが、それにも負けなかった稲垣吾郎の好演も評価したい。正直、ドラマや映画の印象などは中居や草なぎに負ける印象が否めなかった稲垣だが、この作品によって再評価されたと思う。
そしてこの二人にドラマを絞ったことでわかりやすさもピカイチだ。一応小松の大親分や、名優・高橋昌也が登場したりするが、基本の登場人物は二人だけ。だからこそ、最後の場面が引き立つのだ。それに、121分という少々長い上映時間をたった二人だけの登場人物で、なおかつテンポ良く見せた展開も素晴らしいと言わないで何というのか。

笑いあり。涙あり。そんな懐かしい言葉が思い浮かぶ、新たなコメディ映画が誕生したことを心から祝福したい。








「笑の大学」
製作:亀山千広・島谷能成・伊東勇 原作・脚本:三谷幸喜
音楽:本間勇輔 監督:星護

向坂睦夫:役所広司 椿一:稲垣吾郎
青空貫太:小松政夫 廊下の制服警官:高橋昌也 
石川三十五衛門:長江英和 モギリのおばさん:石井トミコ
貫一:眞島秀和 お宮:木村多江

封切:2004年10月30日 興収:7.2億円
早く行かないと公開が終わってしまうので、先日この「戦国自衛隊1549」を見てきた。

陸上自衛隊の人工磁場発生器の実験中に事故が発生、的場一佐(鹿賀丈史)率いる精鋭部隊が460年前の戦国時代にタイムスリップしてしまった。仲間を救いだし、歴史を修正するために的場の元部下で元自衛隊の鹿島(江口洋介)と事故を引き起こしてしまった神崎(鈴木京香)はロメオ隊とともにタイムスリップを敢行するが……。


「戦国自衛隊1549」は、1979年に公開され、配収13億5000万円という大ヒットを飛ばした、映画「戦国自衛隊」を軸に、「終戦のローレライ」で知られる福井晴敏が新たに原作を担当した作品である。監督には、「ゴジラ×メカゴジラ」で、内外問わず高い評価を受けた手塚昌明が登板し、キャストには江口洋介、鈴木京香、鹿賀丈史、北村一輝、伊武雅刀、生瀬勝久など豪華メンバーが勢ぞろいした。



初めに言っておくが、この作品は、オリジナルの「戦国自衛隊」のリメイクでもなんでもない。そんなことは製作が決まった時点でスタッフが何度も言っている。だから、リメイクを期待して見るのはお門違いだし、オリジナルと比較するのはあまりにもナンセンスだ。
そういうワケで、今回はあえてオリジナルの「戦国自衛隊」とは全く別のモノとして話を進めたい。っていうか、一本の映画として見た方が絶対面白いし。

本作は、「ローレライ」と同様に福井氏原作というコトで、いやがうえにも期待は高まった。いやそれ以上に今回は手塚昌明監督が登板したことのほうが私の胸を躍らせた。手塚監督といえば、これまで「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」「ゴジラ×メカゴジラ」「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」と3本のゴジラ映画を監督し、エンターテイメント性溢れる素晴らしい作品を作り上げた。特に「×メカゴジラ」における自衛隊描写は特筆に値する。その手塚監督が、自衛隊をテーマにしたこの作品を手掛けるのだから、傑作を期待するのも当然だろう。
これまでの手塚監督作品は、様々な制約に囚われていた部分があったのも事実だった。「メガギラス」は割と自由な発想で製作出来たようだが、機龍シリーズは予算も削られ、「ハム太郎」との同時上映の関係で上映時間も短縮。そのため、泣く泣く削り取ってしまったシーンも多いという。だが今回は2時間近い上映時間を与えられ、制作費も15億円という、近年の日本映画でも破格の額で製作された。よって、実に手塚監督らしさが反映された映画となっている。
これは率直な感想だが、一本の映画として実に手堅くまとまっている。もともと手塚監督はまとめるのが上手い人だが、最初から最後までノンストップで一気に物語を運び、観客を飽きさせない努力をしている。「×メカゴジラ」などに見られたメッセージ性は若干弱いようにも思えるが(「大事な人を守るために戦う」というテーマはあるものの、実際のところは「自分たちが生きている現在を守る」ためにタイムスリップしたというイメージのほうが強く、一体どちらが目的なのかあやふやで、劇中でも答えは出されていない。まぁ、劇中で鹿島がそれについて言及はしていたので、それほど気になることではない)、それを補うほど画面に力があるので特に問題は無いように思える。寧ろ本作は、物語(も面白いけど)やテーマ性より、キャストの魅力や、重厚な自衛隊描写、さらに実物大で作られた天母城の凄まじい破壊シーンなどを楽しむべきだと思う。中でもアナログとデジタルが融合したクライマックスのバトルシーンは圧巻だ。何といっても本物の90式戦車やAH−1Sヒュイコブラが開幕から画面に登場するのだから、兵器ファンにはたまらない。昨今は自衛隊のイラク派遣などで自衛隊がクローズアップされてはいるが、何だかんだと言って自衛隊は庶民にとってはまだまだ遠い存在だ。正直な話、自衛隊をTVで見るのは自然災害と札幌雪祭りぐらいだし、唯一自衛隊が活躍できた怪獣映画も近頃はめっきり数が減ってしまった。そう言った意味でも、自衛隊を身近に感じることの出来る映画として、本作は特筆すべきなのではないだろうか。ちなみに、物語の根幹とまでは言わないものの、自衛隊の大原則である「専守防衛」についての言及があったりと、現在の自衛隊が抱えている問題に踏み込んだりもしているので、その辺りを併せて見るのも良いだろう。

とはいっても、本作はあくまで娯楽映画だ。やはりエンターテイメント性を最大限に打ち出すのが筋と言うものだろう。そういった意味でも、本作は成功しているといえる。主役の二人の存在感の大きさは言うまでも無いが、今回は予想以上に藤介役の中尾明慶が良かった。彼とは同い年なのだが、自分よりも年下である13歳の役を見事に演じきっていた。それでいて、実は彼は歴史上の重大人物の誰かだった(これは実際に映画を見て確かめて欲しい)と言われても、全くもって違和感が無い。しかも重厚な本作において、気休め的な役割を担っているのもまたイイ。
ところで、本作のキャスティングはやはり怪獣映画を意識した部分があるように思える。斉藤道三を演じた伊武雅刀とその家臣である七兵衛を演じた北村一輝の主従関係は、明らかに「ゴジラ FINAL WARS」を意識したものだし、蜂須賀小六役の宅間伸は何を隠そう、手塚監督の「ゴジラ×メカゴジラ」に出演していた、また嶋大輔も似たような役で「ウルトラマンコスモス」に出ていたし、意外なことに鈴木京香はまだ無名な頃に「ゴジラVSビオランテ」に出演していたりする。
だからなのか個人的には嬉しい顔ぶれが揃った。中でも北村一輝はやっぱり素晴らしい。今回は伊武さんに反乱を起こすなんてことは無いが(笑)独特の存在感を示して、悪役とはまた違ったカッコ良さを醸し出している。特に剣を振り回す際の殺陣の綺麗なことったらありゃしない。改めて「何てアクションの上手い人なのだろう」と思わせてくれた。


まだまだ書きたいことはたくさんあるが、字数制限の関係でこの辺りにしておこう。
軽くまとめると、「戦国自衛隊1549」は時代劇的な要素は少々薄いが、エンターテイメント性に溢れた傑作であったように思う。手塚監督にはこれを軸にして、更なる傑作を撮って頂きたい。








「戦国自衛隊1549」
原案:半村良 原作:福井晴敏
脚本:竹内清人・松浦靖 特撮監督:尾上克郎 監督:手塚昌明

鹿島勇祐:江口洋介 神崎怜:鈴木京香
飯沼七兵衛:北村一輝 濃姫:綾瀬はるか 森彰彦:生瀬勝久
三國陸曹長:嶋大輔 与田:的場浩司 藤介:中尾明慶
蜂須賀小六:宅間伸 斉藤道三:伊武雅刀 的場毅/織田信長:鹿賀丈史

主題歌:「涙の数だけ」(歌:Full Of Harmony)
全国東宝系で公開中。
ハイ。ご無沙汰しております。
最後に書いたのが6月15日だったワケで、約1ヶ月ほど間が開いてしまったのだが、別にここをやめたのではないのだ。
もう皆さん予想通りだと思うのだが、毎年恒例の期末テストがあったんだよね。
だから、どうしてもテストの時期になると更新が出来なくなってしまう。特に最近は学校でもプライベートでも何かしらと忙しくて、ネットに繋ぐこともままならなかった。とはいっても、これから夏休みに入るので、ここの更新も一年前のようにまた活性化させることが出来ると思う。

さて、そんなこんなでまともにPCを触ったのは久々なんだが、毎度の如く時差ボケ状態。いくつか書きたいことがあるんだけど、その中でも今回は「日本沈没」のリメイクの話を取り上げよう。まぁ、別にいまさら書く話でもないんだけどさ。

 日本列島が海中に沈没するという衝撃のストーリーで400万部のベストセラーとなった小松左京の同名小説を映画化し、動員650万人、興収40億円におよぶ大ヒットを記録した「日本沈没」(73)がリメイクされることになった。

 今回メガホンを取るのは「ローレライ」の樋口真嗣。オリジナル版で藤岡弘、が演じた潜水艇操縦士に草なぎ剛が扮し、今回初登場となるハイパーレスキュー隊員を柴咲コウが演じる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050706-00000009-eiga-entより抜粋。


「戦国自衛隊」に続き、また日本映画の名作がリメイクされることになった。こうなったら同じ特撮大作である「東京湾炎上」や「新幹線大爆破」「竹取物語」などが続々とリメイクされると良いのだが・・・。
そんなこんなで「日本沈没」である。日本沈没といえば、小松左京の同名小説を東宝が映画化した有名な作品である。監督は「八甲田山」で知られる森谷司郎。特撮は昭和後期「ゴジラ」シリーズで知られる中野昭慶が担当し、当時の邦画としては破格のスケールで製作された。キャストも小林桂樹、藤岡弘、、いしだあゆみなど豪華キャストが勢ぞろいし、興行的にも成功。1992年の「ゴジラVSモスラ」に抜かれるまで、19年間東宝の正月映画の記録を保持していた(※)。
翌年からはTVシリーズも放送され、高視聴率を獲得している。

その「日本沈没」がリメイクである。
私は何度も機会に恵まれながら、未だにオリジナルを見たことが無い。一度見てみたいと思うのだが、見てないものはしょうがない。なので、今の段階ではオリジナルとの関連性などについて個人的にいろいろ語ることは出来ない。だから今回は、一本の映画として私が感じたことについて書かせて貰おうと思う。

監督はあの樋口真嗣ということで期待が持てる。平成「ガメラ」の特撮は素晴らしかったし、「ローレライ」も近年稀に見る名作だった。なので、期待はして良いと言えるだろう。主演もSMAPの草なぎ剛。彼の出演したドラマ「フードファイト」は名作だった(野島伸司の力も大きいけど)。彼に関しても心配することはないだろう。
えっと・・・ヒロインは柴咲コウ?
なぜ?どうして?どうもイメージが合わないんだけど・・・。役所はハイパー・レスキュー隊員?う〜ん、まぁ現代風なイメージを狙ったのかねぇ・・・?私にはよくわからんが。何ていうか、ファンの方には失礼だが、個人的には柴咲コウはあまり好きではない。確か今ほど売れていなかった時に、ドラマ「レッツゴー!永田町」に彼女が出演していたと記憶しているのだが、そのときの意地悪そうな(失礼)イメージが払拭出来なくて、どうも・・・。だから「世界の中心で、愛を叫ぶ」の時も何かポカーンとしたんだよな。ただ、「ローレライ」でもヒロインを(ちょっと狙いすぎな部分はあったが)魅力的に描いた樋口監督だから、こういう個人的な好き嫌いを気にさせない画作りをしてくれることだろう。

さて、オリジナルの「日本沈没」では富士山の大噴火や直下型地震による東京の大破壊など、特撮的な見所も多かった。中でも高速道路の崩壊シーンは素晴らしいと聞いている(当時の学者からは「地震で高速道路が破壊されることは有り得ない」などと言われたそうだが、阪神大震災の惨状を見て、原作者の小松氏自信も驚いたらしい)。
ストーリーが旧作を基盤にして作られるのか、「戦国自衛隊」のように全くのオリジナルになるのかはわからないが、どちらにしても大規模な破壊シーンが見られることだろう。是非今回は、樋口監督お得意の大崩壊シーンを見せて欲しい。いずれにしても、樋口監督の手腕に“期待”である。

余談だが、1999年に立ち消えになったと言われる大森一樹版も見たかった気がする。「ゴジラVSビオランテ」や「T.R.Y」など数々の名作特撮映画を作り上げて来た彼だから、もし登板していたら、きっとイイ仕事をしてくれたことだろう。とは言っても、過ぎたことをいっても仕方が無い。大森監督の手腕は正月の「セイザーX」で十二分に堪能することにしよう。




(※)「日本沈没」の配給収入は20億円。上記の記事に記載されている興行収入は、この数字を単に倍にした物と考えられる。現在は配収ではなく興収が表示されるシステムに変わったが、実際のところ配収=2興収の等式は成立せず、映画「日本沈没」の興収は35億円程度だと思われる。ちなみに、その「日本沈没」の記録を抜いた映画「ゴジラVSモスラ」の配収は22億円であるが、興収は倍の44億円ではなく、37億円(推定)となる。余談だが、「ゴジラVSモスラ」の記録は13年経った今でも抜かれてはいない。
(「ゴジラVSモスラ」の興収に関しては東宝からの公式発表が無いので、http://www.generalworks.com/databank/movie/さんのデータを参考にさせていただきした) 

CASSHERN

2005年6月9日 映画
最近何かと忙しい。
だからここの更新もなかなか出来ない。
知り合いからは「帰宅部のお前が忙しいハズが無い」などと言われるが、忙しいものはしょうがないのだ。何も忙しい=部活というワケではないんだから。
それに、最近何かとショッキングなコトが多い。だからなのか、精神的にもいまひとつ余裕が無いんだよな。

さて、気を取り直して、今日の話題は5月の末に見た、映画「CASSHERN」

長年にわたる戦争の末、荒れ果てた世界。人類を再生の道へと導くため、遺伝子工学の第一人者・東博士(寺尾聰)は人間のあらゆる部位を自在に造り出す“新造細胞理論”を学会で提唱する。一方、博士の息子、鉄也(伊勢谷友介)は父へ反抗心から兵士として戦争に参加するが……。


「CASSHERN」は、漫画「新造人間キャシャーン」を紀里谷和明が実写映画化した作品。主題歌を紀里谷の妻である宇多田ヒカルが歌ったことでも話題になった。



またやってしまった・・・orz
あれほどわかっていたのに。映画は期待して見ると結構裏切られるというコトを・・・。

おっと、イキナリ嫌味から入ってしまったが、この「CASSHERN」には正直落胆させられた。 
私は当然のことながら、リアルタイムで原作の「新造人間キャシャーン」を見ていない。故に、原作の世界観に関しては無知である。だが原作を実写化した映画というのは、原作を知らないほうが楽しめる、というパターンが多いので、原作を読んでいなくても楽しめると思っていた。現にその期待は大きく、120秒の予告編を見たときは、かなり興奮したモノである。

ところが。

期待は見事に裏切られてしまった。

つまらん


・・・と一言で済ますのは何なので、どこがどう合わなかったのか言わせて貰うと、とにもかくにもCGが薄っぺらい。
何ていうか、一見美しく見えるようだが、中身が無に等しい。例えるなら、スカスカのスイカのようだ。昨今のハリウッド映画などでも、こういった「CGの薄っぺらさ」を感じることは多いのだが、今回もそれと同じような印象を受けた。確かに合成のアラとかは少ないとは思うんだが、映像に力が無い。しかも全編に渡ってこんな調子が延々と続くので、体力を奪われる。
やたらと画面を光らせているだけではやっぱりダメなんだよな。さらに、そこに付加される音楽も、これでもかとばかりギンギン鳴るので段々と疲れてきて、映画の半分を過ぎたところで「早く終われよ」という気になってしまうのは困ったもんだ。だからなのか、数少ない落ち着いたシーンが来ると妙に安心してしまう。でもすぐにまたCGをキラキラさせたシーンに切り替わり、興ざめしてしまう。
何だか最近のSF映画は「CGを使えば素晴らしい」みたいな風潮があるようだが、それがマイナスに作用したイイ例であろう。

それでも前半30分ぐらいは寺尾聰や及川光博の熱演が光ってなかなか面白い。また小日向文世もイイ味出していた。だがその後から段々怪しくなってくる。どうして最初のペースで映画を進めていかないのか。新造人間が現れた辺りから観客を置いて行ってしまっている。それじゃぁ、意味が無い。また具体的なセリフでの説明が少なく、難解なセリフや登場人物の意味不明な行動も相まって、この作品を不可思議なモノにしている。しかもキャラ一人一人が魅力に欠ける。一番疑問が残ったのが宮迫のキャラ。何でロクに喋らなかったのか最後までわからなかったし、登場させる理由も意味不明。登場人物多すぎだっての。それがさらにテンポを悪くさせている。
でもせめて100分ぐらいにまとめたらまた印象が違っていたかもしれないが、やっぱし140分は長すぎ。ラスト30分なんか、見ているのがめっちゃ辛い。


そういうワケで「何とか」最後まで見たけれど、ラストシーンは何か後味が悪い。私がハッピーエンドが好きだからかもしれないが、いまひとつパッとしない終わり方だったような気がするなぁ。

きちんとしたメッセージを伝えようとしたことはわかったけれど、やっぱりそれ故に映画のテンポというのは重要だと、改めて実感させられた映画だった。




所謂「本編より予告編の方が面白い映画」の典型だったな。









「CASSHERN」
脚本:紀里谷和明 菅正太郎 佐藤大 音楽:鷺巣詩郎
バトルシーンコンテ:樋口真嗣 監督:紀里谷和明

東鉄也(キャシャーン):伊勢谷友介 上月ルナ:麻生久美子
東博士:寺尾聰 東ミドリ:樋口可南子 上月博士:小日向文世
アクボーン:宮迫博之 バラシン:要潤 内藤薫:及川光博
ブライ:唐沢寿明

テーマソング:「誰かの願いがかなうころ」(歌:宇多田ヒカル)
封切:2004年4月24日
前回、前々回の記事をまだ書き終わっていないのに新たな記事を立てるのはどうかと思うが、見過ごせない話題が入ってきたのでコチラの話題を先に。

6年ぶり復活、ガメラの友情物語
 人気怪獣のガメラが6年ぶりに復活する。生誕40周年を飾る記念映画で、タイトルは「小さき勇者たち〜ガメラ〜(仮題)」。ガメラが卵からふ化し、子供たちとともに成長していくという、ルーツに迫る新機軸の内容だ。「仮面ライダー」シリーズなどを手掛けた田崎竜太監督(41)がメガホンをとり、主演には富岡涼(11)と夏帆(13)が抜てきされた。

 「子供たちの守り神」を基本コンセプトに、昭和に8本、平成に入って3部作が製作され、日本を代表する人気怪獣となったガメラが、新たな形でよみがえる。

 今年、40歳の“誕生日”を迎える節目に、角川映画が新作を企画。「前のシリーズにとらわれず、復活を前面に押し出す。怪獣映画ではあるが、父子の交流のドラマも描き、親子で見に行ける作品にしたい」(有重陽一プロデューサー)と構想を固め、ドラマ「砂の器」などで知られる龍居由佳里さん(45)に脚本を依頼した。

 「小さき勇者たち…」は、ギャオスの大群との激闘で、ガメラが自らの命を賭して地球を守ったバトルシーンが導入部。その30年後、1人の少年が拾った卵からかえったカメがまたたく間に成長し、空を飛び火球を吐くようになる。

 “友情”を深めていく中で新怪獣の襲来。まだ成長途上のガメラが、敢然と立ち向かっていくというストーリーだ。

 主人公の少年に決まった富岡は、昨年のドラマ「弟」で、石原裕次郎さんの少年時代を演じ注目された子役。その幼なじみの少女に扮する夏帆は、木村拓哉(32)主演の「エンジン」に出演している美少女。また、それぞれの父親を津田寛治(39)、寺島進(41)が演じる。

 田崎監督は「ガメラという映画スターが、今までの名声を脇に置いて、あえて新しい役どころに挑戦する映画。住み慣れた怪獣映画というジャンルを超えるべき時が来た」と気合十分。夏帆も「初めての映画のヒロイン。自分のできることを精いっぱいやりたい」と、6月下旬のクランクインを心待ちにしている。来春公開予定。


http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2005/05/30/03.htmlより抜粋)







ガメラが復活するのである。
昨年12月にゴジラシリーズが中断し、再び怪獣映画の冬の時代が来るという危惧もあったが、このガメラの復活によって今後も怪獣映画が製作され続けるということが確定した。まぁ、そもそも「ウルトラマン」シリーズの新作も発表されたし、「ゴジラ」の後釜には「幻星神ジャスティライザー」が決まっているワケだから、特撮業界はまだまだ元気なのだ。

記事を読む限り、この「小さき勇者たち 〜ガメラ〜」は99年に公開された「ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」の続編と言う形になるようだが、平成「ガメラ」シリーズがブルーリボン賞を始め各賞を総ナメにした故であろう。舞台が「ガメラ3」の30年後となると、時代設定は2029年ということになるみたいだね。
ストーリーは基本に戻り、「子供たちの味方」としてのガメラが描かれるみたいだけど、是非とも昭和シリーズを超える作品になってもらいたいと思う。正直なところ、私は昭和シリーズは3作目の「ガメラ対ギャオス」以外未見で、詳しい内容までは完璧に把握してはいないのだが、映画のノリとしては80年の「宇宙怪獣ガメラ」に近い物になるんだろうか。

ただここで一つ疑問が発生してくる。
平成「ガメラ」シリーズは、ストーリーにリアリティを持たせるため、「カメと言う生き物が存在しない」世界になっていた(平成「ガメラ」の劇中で、登場人物が誰もガメラをカメに似ていると言わないのはこの為である)。そうすると、このストーリーには矛盾が発生してしまうのだが・・・。ひょっとすると、「ゴジラ FINAL WARS」のように、他の作品と緩やかに繋がるような世界観として設定するのだろうか。この辺りはこれからの動向に期待である。

さて、スタッフは監督に「仮面ライダー」シリーズの田崎竜太が抜擢されたようだが、金子修介を期待していた人も多かったのではないだろうか。私個人としても、金子の登板を期待していたのだが、さすがにテーマ性が変わるからか、起用はされなかったようだ。ひょっとしたら、「ウルトラマンマックス」の関係もあったのだろうか。まさか、ライバルの「ゴジラ」映画の監督をした(01年「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」)からなんて理由ではないと思うけど。
金子が外されたというコトは、他のスタッフもやはり総入れ替えとなるのだろうか。脚本には既に龍居由佳里が決まったようだが、こうなると特撮は誰がやるのか。ファンなら樋口真嗣の登板をやはり期待するだろうが、恐らくこれも無いだろう。そうなると「ライダー」つながりで佛田洋がやるのか、はたまた「ゴジラ×メカゴジラ」の菊池雄一がやるのか。その他にも浅田英一、尾上克郎など様々な名前が浮かぶが、私としてはこういう感受性のある怪獣の芝居が要求される特撮の演出には、鈴木健二を推薦したい。

キャストのほうは子役以外にも津田寛治と寺島進が決まっているようだ。寺島は「交渉人 真下正義」での演技が記憶に新しいが、父親役をどう演じるのか。。。



そんなこんなで、製作が正式に決定した「ガメラ」だが、当初は「妖怪大戦争」の入り次第という話もあって、お流れになるのではないかとヒヤヒヤしていたが、無事に決まって何よりである。案外、「ガメラ」の入り次第では「ゴジラ」の復活も早くなるかもしれない。 
TBS「さんまのスーパーからくりTV」などでブレーク中のタレント、ボビー・オロゴン(32)がこのほど、人気シリーズ映画「釣りバカ日誌16 浜崎は今日もダメだった♪」(朝原雄三監督、8月27日公開)の長崎・佐世保ロケに参加した。ボビーは映画初出演。同シリーズも外国人を主要キャストに迎えるのは88年以来初めて。
 ボビーは、6年前に来日して初めて見た映画が「釣りバカ日誌12」だったという。「(西田敏行演じる主人公)ハマちゃんに会えてすごく感動した。昔から見ていたから、目に入れても痛くないほど、すごくうれしい」と、得意のむちゃくちゃな言葉遣いで喜びを表現した。撮影現場では、すっかりムードメーカーになっている。米軍基地勤務の“米国の釣りバカ”青年役のボビーにすっかり乗せられてしまったのか、ハマちゃん役の西田もアドリブを連発。「ボビーはとてもクレバー。いろいろな才能を持っているね」と感心しきりだった。
 ほかに伊東美咲(27)金子昇(30)も出演。西田は「年を重ねるごとに動きが鈍くなってきたが、若いメンバーが補強してくれた。これまでで最もおなかを抱えて笑える作品になる」と自信をみせていた。



・・・(^^;

まぁ、イイんじゃない?
ボビーって、一応「オロナミンC」のCMで役者デビューしてたんだよね。

じゃぁ、大丈夫かなぁ・・・?
まずは昨日のお話の続きから。

先日見た「交渉人 真下正義」の本編上映後には、8月27日公開の「容疑者 室井慎次」の「特報」が上映された。「踊る」スピン・オフ・ムービー第2弾として公開されるのが、この「容疑者」だけれど、出演者が凄い。今日製作発表があったのでご存知の方も多いと思うが、主演の柳葉敏郎を始めとして、哀川翔、田中麗奈、筧利夫、真矢みき、柄本明、佐野史郎、八嶋智人、吹越満など、もはや言うコト無しのメンバーが揃ったようだ。中でも、柄本さんの出演は個人的には嬉しい。柄本さんは最近だと「鉄人28号」や「ゼブラーマン」とかに出演されていたけど、クセのある濃い俳優サンなので、「容疑者」での活躍も期待したい。

さて、これらスピン・オフ・ムービーが製作できるのも、何を隠そう「踊る2」の大ヒット故なのだが、肝心の「交渉人」の方はどうなのだろう?
気になるオープニング二日間の興行成績だが、興収が5億5413万1360円、観客動員数が38万9155人という好スタートを切ったようだ。とはいっても、これは「踊る2」のオープニング(興収173億円)と比べて45%の成績と、スピン・オフ・ムービーとしては渋い出足。東宝とフジテレビは「興収50億円」を目標にしているというが、結果的にここまでのヒットを飛ばせるかは微妙なトコか。正直なハナシ、最近の邦画は出足は好調でも、後に急落するというパターンが多く見られるため、これからの入りに期待だが、個人的には「ローレライ」の二の舞は踏んで欲しくはない。
「ローレライ」は、公開12日で早くも10億円を突破するなど、公開直後は盛況し、興収40億を見込む、とも言われていた。しかし、最終的な結果は興収25億と、目標の62%という結果に落ち着いてしまった。恐らく興収から考えて、観客動員数は200万〜250万が相場だろう。決して悪い成績ではないが、鳴り物入りで公開された作品だったので、せめて30億は超えて欲しかった。

ハナシを「交渉人」に戻すが、公開時期から考えても、「交渉人」はこの勢いを持続できるかは微妙なところではある。確かに「踊る2」は夏休み公開と、時期的な問題では「交渉人」がその結果を超えるというのはムリかもしれないが、一年のうちで最も映画が儲かるのは、何を隠そうGWなワケで(意外と知られていないが、「ゴールデンウィーク」という言葉は、映画業界が名付けたのである)、是非健闘してもらいたい。
ただ、映画の内容と、例の列車事故がバッティングしてしまったのも事実なワケで、このあたりが動員に響いているのもまた事実かもしれない(不謹慎なのは承知で言うのだけれども)。

ところで、何故急にこんなコトをいうのかといえば、今年の春興行は、日本映画全体を見て昨年に比べてやや落ち込みが見えるな、と正直思えたからである。
今年の春休みは一連の声優交代の影響で「ドラえもん」が不在であった。「ドラえもん」といえば、2000年以降も平均興収25億を稼ぎ出すドル箱シリーズだったが、今年それが不在となるということで、小屋(劇場)がどう埋まるか心配ではあったが、「ドラえもん」の分は「ローレライ」が見事に巻き返す結果となった。
ところが、それ以外の邦画は期待ハズレとまでは言わないものの、昨年ほどの収益をあげられていないと感じる。
例えば、金子修介監督・上戸彩主演で注目された「あずみ2」はオープニングの成績が前作の72.6%と落ち込みが激しかったし、宮沢りえ主演で個人的に注目していた「阿修羅城の瞳」は、10億円に遠く及ばないという結果になってしまった。さらに、春の目玉であるアニメ作品だと「ワンピース」は前作の6割ほどだし、毎回高い成績を残す「コナン」でさえも前作の7割に成績が落ち込んでしまった(「クレヨンしんちゃん」だけは前作の102%の出足で好調だったようだが)。
反対に「真夜中の弥次さん喜多さん」「ふたりはプリキュア」「ロックマン」などどちらかといえば小規模公開だった作品が好調だったのも、今年の春の特徴だった。
だが、大型作品がいまひとつの入りだということは、やはり残念なコトである。だからこそ、「交渉人」には頑張って欲しいモノだ。

さて、6月11日には上半期最後の砦である「戦国自衛隊1549」が公開されるが、コチラはどれほどの収益を獲得できるだろうか。
考えてみれば、昨年はシリーズものがある程度健闘したし、85億円を稼ぎ出した「世界の中心で、愛を叫ぶ」もあった。当然「ハウルの動く城」を忘れてはならない。

正直、今年はそういった爆発的ヒットしそうな映画が今のトコ見当たらないのだが(「容疑者」も「交渉人」の出足を見ると微妙か)、下半期は是非頑張っていただきたい。
気付いたらもう木曜日になってしまったワケなんだけど・・・。
今日のお話は、先日予告した、映画「交渉人 真下正義」のお話。

クリスマス・イブを雪乃(水野美紀)とデートするはずだった警視庁交渉課準備室課長の真下(ユースケ・サンタマリア)は、室井管理官(柳葉敏郎)に呼び出され、何者かにのっとられた東京の地下鉄の最新鋭実験車両事件に挑むが……。



「交渉人 真下正義」は、173億円のメガヒットを記録した「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」の続編として製作された、「踊る」のスピン・オフ・ムービーである。主演の真下役にはユースケ・サンタマリアを起用し、共演には水野美紀、寺島進、国村隼、柳葉敏郎など豪華メンバーが顔を揃えた。

前作が興収に見合うほど良く出来ていて、日本映画の中でもトップクラスの面白さだったので、この作品にもかなり期待をさせてもらった。それで見た結果は、その期待に充分に応えてくれる作品だった。
正直な話、主演のユースケ・サンタマリアでどこまでのモノが出来るか不安な部分もあったが、そう心配する必要もなかったようだ。確かに、まだまだ不完全な部分もあるものの、及第点といえるであろう。前作で見せてもらった交渉する際の独特の「話し方」もグレードアップして良かったと思うしね。
でもユースケがカッコ良く見えたのは、やはり脇役陣のお陰であることに他ならない。ヒロインの水野美紀はもちろんのこと、個人的には片岡役を演じた国村隼さんを絶賛したい。彼といえば、最近は「ローレライ」「ゴジラ FINAL WARS」「半落ち」「海猿」など数多くの話題作に出演し、見る機会が多い俳優さんだが、その独特の口調と存在感で、「秘密を守る男」を見事に演じていた。今やシブい脇役をやらせたら、彼の右に出る者はいないと言ってもいいぐらいだ。さらにそのシブさに増して、口に禁煙パイプをくわえてるのだからたまらない。昔からシブい役者にパイプは付き物だ。さすが本広監督はわかっている。しかも止めと言わんばかりにその無表情から、絶妙なギャグが飛び出すのだから言うコト無しだ。
国村さん以外でも宇崎竜童を彷彿させる寺島進や、今回は出番が少ないが大きな存在感を醸し出していた柳葉敏郎も素晴らしい。逆に個人的にビックリしたのは石井正則が意外と出来ること。彼はドラマ「ナースのお仕事3」での敬語を使いまくる患者役が印象的だったが、今回もそれに近い雰囲気で映画の雰囲気を明るくしてくれた。彼はお笑いよりこっち路線で行ったほうがイイんじゃないのか?あとは出番は少ないが大和田伸也さんは私としては素晴らしい俳優さんだと思うし、さっきも触れたが、水野美紀が正規のヒロインとして登板してくれたのが嬉しかった。彼女は昔から大好きな女優さんだったので(キッカケは「ガメラ2」だったが)、これからの活躍にも大いに期待したい。
そして忘れてはならないのが「SAT」隊長役の高杉亘さん。「ゴジラ×メカゴジラ」の機龍隊隊長を始めとして、何故か隊長役の多い彼だが、松田優作を彷彿させる低音の美声で実にカッコイイ。

とまぁ、キャスティングが素晴らしいの一言。これだけで1800円払う価値がある作品だと思うのだが、内容自体も非常に良く出来ている。ラストシーンが少々スッキリしないで、わかりづらかったのが残念だが、最初から突っ走って観客を飽きさせることが無い。実は私、これを見た日は3時間強しか寝てなくて、見る前はメッチャ眠かったのだが、その眠気を吹き飛ばすぐらいの面白さだったと思う。地下鉄を題材にしたのも新鮮さがあってまた良かったしね。そういえば、日本映画でこういうパニック映画で意外と少ないんだよな。列車パニックで思い浮かぶのも、あの有名な「新幹線大爆破」ぐらいだもの。他に思い浮かぶとパニック映画といえば「東京湾炎上」ぐらいか。災害モノだと「日本沈没」とか「地震列島」とかあるけど、乗り物パニックってホント滅多に無いよなぁ。
ま、そういった意味でも低迷する日本映画に渇を入れる映画になっていたと思う。

ところで、技術的な出来はどうだったのか、というコトだが、パニックの主役となる「クモE−4 600」がミニチュアだということは最後まで気付かなかった。何故か知らんが「ミニチュア」と聞くと昨今ではマイナスイメージに聞こえる訳のワカラン風潮があるのだが、そういう方にはこの映画を見てミニチュア特撮の良さを再認識してもらいたい。ホント、動きも撮り方もミニチュアには見えないから。やっぱり、無機物であるCGにムリに頼るよりも、人の手で作られた有機物のミニチュアに頼ったほうがイイ時もあるんだよな。

音楽面でも見所は多い。ジャクソン5を始めとする様々なアーティストが参加していたり、クラシック曲が多く用いられたりと聞き応え充分。もちろん、今回も松本晃彦の躍動感溢れる楽曲は健在。特に前作では予告編にも使われた「危機一髪」には鳥肌が立った。

でもね、ここまでかなり持ち上げたけど、不満が無いわけでもない。まず一番違和感を覚えたのが、小泉孝太郎演じる小池。小池といえば、前作で「監視カメラルーム」のシーンに登場したバリバリのPCオタクだったわけだが、今回は何か明るいイメージになっちゃったな。このキャラって、もっと冷酷な雰囲気漂うキャラじゃなかったっけ(恩田すみれの小池に対しての「捜査員のお弁当食べてるっ!」のセリフも印象的だったし)?
また、クモのミニチュアの出来は素晴らしいのに、劇中で大きく二回起こる大爆発のシーンのCG合成には、ツメの甘さが残る。せっかく、クモであれだけの技術を見せてくれたのだから、爆発シーンも実際の爆発シーンを撮って、実景に合成した方が良かったんじゃない?

だが、全体的に見たらそんな不満なんか心配御無用。


だってこんなに面白かったんだから。







「交渉人 真下正義」
製作:亀山千広 原案:君塚良一
脚本:十川誠志 音楽:松本晃彦 監督:本広克行

真下正義:ユースケ・サンタマリア 柏木雪乃:水野美紀
木島丈一郎:寺島進 矢野君一:石井正則 小池茂:小泉孝太郎
前主十路:西村雅彦 熊沢鉄次:金田龍之介 草壁:高杉亘
片岡文彦:国村隼 室井慎次:柳葉敏郎

挿入歌:「サンタが街にやってくる」(歌:ジャクソン5/テンプテーションズ)

全国東宝系で絶賛上映中。
明日「交渉人 真下正義」を見に行くので、今日の夜劇場公開以来久々に見たのだが、やっぱり面白い。

時間が無いので詳しいレビューが書けないのが残念だが、「交渉人」の方でコチラの分も含めて、感想をいろいろと書こうと思う。
GWも今日で一旦終了。
そういうわけで今日は、昔からの友人二人と「名探偵コナン 水平線上の陰謀」を見てきたのであります。

太平洋の大海原。コナン、蘭、小五郎たち一行は、蘭の親友・園子に誘われ、豪華客船アフロディーテ号の処女航海に参加していた。船内は政財界をはじめ錚々たる顔ぶれが集い、華やかさに満ちていた。そんな中、園子が何者かに襲われ監禁される事件が発生する。コナンの活躍で園子は無事に発見されるが、今度はついに殺人事件が発生してしまう。目暮警部率いる捜査陣のヘリがアフロディーテ号に到着し本格的な捜査が始まる。やがて、15年前のある事件との関連が浮かび上がってくるが、船内ではさらなる巨大な陰謀が乗客たちを待ち受けていた…。

http://moviessearch.yahoo.co.jp/より抜粋)



毎回毎回、高いクオリティの作品を排出し続ける「名探偵コナン」シリーズだが、今回も素晴らしい作品を提供してくれたように思える。
前作「名探偵コナン 銀翼の奇術師」は大空が舞台であったが、今回はそれに対比されるように大海原をひた走る豪華客船が舞台(それを意識したような白鳥警部のセリフも見られる)。前作とは一風変わった“密室”のサスペンスが繰り広げられる。

さて、今回の作品で特筆すべきことは何か。
それはやはり小五郎のカッコ良さに尽きる。
前作では怪盗キッドにお株を取られて、いささか活躍しなかったように思えた小五郎だが、今回は眠らないで自ら事件を解決してみせた。小五郎が自らの手で事件を解決したエピソードといえば、「小五郎の同窓会殺人事件」(原作では9巻に収録)が思い出されるが、今回の小五郎はその時と同様のカッコ良さに満ちていたと思う。特にお得意の柔道シーンが披露される展開は、原作を読んだことのあるファンにとってはうれしいのではないだろうか。しかもその後に「自分の大事な人に似ていたから犯人と思いたくなかった」なんてセリフが被るのだからいたれりつくせり。まぁ、欲を言えば顔を殴れなかったのは「英理に似ていた」からなんていうセリフが欲しかった気もするが。

それにしても、今回はそんな小五郎の英理を想う気持ちが露呈された作品になったわけだが、いつにも増してラブストーリーの要素が強かったように思えるね。
だってコナンの「バーロ。夕日の所為だよ」は反則だよ。コイツは小学生のころからそんなコト言ってたのかよ、と。しかもそれを自然と口に出すんだから、おいしいヤツだよな、コナンってヤツは(^^; それにしても唯一つ微妙だったのが蘭のピンチへの陥り方。少々ムリが見られたし、今までに比べると絶体絶命感が薄かったように見られた。まぁ、見ている間はそんなに気にならなかったけど。

推理的な要素は、年々少なくなっているような気もするけど、目玉だった「二重サスペンス」はきちんと表現出来ていたように感じた。また、少年探偵団の皆さんが蘭にプレゼントした貝殻の金メダルが、ラストのピンチを切り抜けるための要素となったのもイイ。そりゃ最初から読める展開ではあったけれど、イキナリ出てきちゃ反則だしね。それに逆に伏線として登場させたのが良かったと思う。「丈夫すぎる」って、言う方もいたけれど、もっと素直になりましょうよ(^^; 思いが強ければ何でも出来るのさ、と。そういうことだよな。

最後に。今回はゲスト出演者として「アンパンマン」のチーズ役などで知られる人気声優山寺宏一さんが出演なさっていたのが個人的に嬉しかったであります。

「コナン」シリーズは来年も製作が決定したようだが、多分来年も私は見に行くだろうなぁ。スタッフのみなさん、また来年も質の高い作品を見せてね。







「名探偵コナン 水平線上の陰謀」
原作:青山剛昌 脚本:古内一成
音楽:大野克夫 総作画監督:須藤昌朋 監督:山本泰一郎

江戸川コナン:高山みなみ 毛利蘭:山崎和佳奈 毛利小五郎:神谷明
目暮警部:茶風林 阿笠博士:緒方賢一 灰原哀:林原めぐみ
小嶋元太・高木刑事:高木渉 円谷光彦:大谷育江 吉田歩美:岩居由希子
工藤新一:山口勝平

主題歌:「夏を待つ帆(セイル)のように」(歌:ZARD)

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