ゴジラ(84)

2004年8月29日 ゴジラ
さて、今日は今から20年前に公開された「ゴジラ」(84)

いわゆる「平成ゴジラシリーズ」の第1作である。

伊豆諸島・大黒島の大噴火から3ヵ月後。付近の海で漁船・第5八幡丸が嵐により遭難した。その中で唯一生き残った船員は、嵐の中で巨大生物の影を見たと言う。その生物は紛れも無く、復活したゴジラだった。ゴジラはソ連原潜を襲い、静岡県の原発を急襲した後に東京に上陸。破壊の限りを尽くす。政府は首都防衛移動要塞・「スーパーX」を出撃させ、ゴジラを迎え撃つが・・・


まずは解説。
1975年の「メカゴジラの逆襲」以来、「ゴジラ」シリーズはしばらく打ち切られ、製作されなかった期間が長く続いた。だが相次ぐSFブームや、ファンによる復活運動により、東宝はゴジラ映画の製作再開を決定。その結果製作されたのが、この「ゴジラ」である。
タイトルが示すように、このゴジラは子供たちのヒーローと化していたゴジラを、初代ゴジラの様な荒々しい巨大生物に戻す意図があった。つまり、原点に帰る、と言うコトである。

それ故に、1955年の「ゴジラの逆襲」から1975年の「メカゴジラの逆襲」までのゴジラ映画はあくまで無かったコトにすると言う荒技をやってのけたのである。

こうして完成した新ゴジラだが、果たして内容云々に関してはどうだったろう。

結論から言うと、私は好きだ。

何故こう言う言い方をするかと言えば、この作品、巷ではいまひとつ評判が芳しくないのである。

物語は冒頭、大黒島が噴火したトコロから始まる。その後、嵐のシーンとなり、船員がゴジラを見た、と証言したコトから、ゴジラ復活の疑念が日本中を駆け巡るのだ。
この作品はゴジラシリーズ中、類を見ない政治ドラマに仕上がっている。なので、主人公はあくまで内閣総理大臣。ゴジラが生存するか否かと言う議論の部分から、出現、対策までの幅広い部分が政治ドラマとしてリアルに描かれている。また当時は、米ソ冷戦の時代だったために、核兵器がストーリーの重要なカギとなっているのだ。

この辺りの人間ドラマは素晴らしいと思う(会議のシーンが多すぎるという難点はあるのだけれども・・・)。

ところが若い出演陣のストーリーの方は破綻しているとまでは言わないが、演技が壊滅的。主人公は新聞記者であり、科学者の助手と恋に落ちると言う、怪獣映画の黄金パターン。と言うか、いつも通りのキャラクター付けなので見ていて飽きる。何を隠そう、主演が田中健と沢口靖子なのだ。今はまぁ、何とかなったけど、この当時の演技ときたら・・・(−−;

さて、気を取り直しての特撮の方だが、こっちも本編を助けるほどの出来とは言いがたい。いや、名場面は一杯あるのだ。ゴジラが晴海ふ頭の陸上部隊を熱線で焼き払うシーンだとか、有楽町マリオンのシーンだとか、新宿での人類との戦いのシーンは、まさに血湧き肉躍る戦いになっているのだ。この辺りは東宝特撮陣の意地、といったトコロだろう。

だがしかし、問題がいくつかあることも否めない。まず、この作品では、ゴジラのアップの演技を付けるために、サイボットゴジラという全長5メートルほどの造形物を製作したのだが、このサイボットゴジラはクセモノ。サイボットのシーンはとっても素晴らしい。いや、断言する。ただその代わりに着ぐるみとの違和感がありまくりなのだ。この辺はやっぱしいただけない。

それ故に、この作品以降は着ぐるみから型を取った、アップ用の造形物が作られたらしい。

さてさて、何やら不満ばかり書いてしまったが、全体としては綺麗にまとまっており、傑作とまでは言わないものの、落ち着いて見れる佳作には仕上がってると思うので、一度は視聴をオススメしたいと思います。

「ゴジラ」
監督:橋本幸治 脚本:永原秀一 特技監督:中野昭慶

三田村清輝:小林桂樹 牧吾郎:田中健 奥村尚子:沢口靖子
奥村宏:宅間伸 林田信:夏木陽介 
浮浪者:武田鉄矢 新幹線乗客:かまやつひろし 原発職員:石坂浩二

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