さて、本日は昨日の「ゴジラ」に引き続き、衛星映画劇場で放送された「三大怪獣 地球最大の決戦」のレビューを。
ちなみに、昨日は「ミッドナイト映画劇場」において「キングコング対ゴジラ」も放送されているが、こちらのレビューは割愛。

黒部渓谷の霞沢に突如巨大隕石が落下する。時を同じくして日本各地に「金星人」と名乗る予言者が現れる。それは行方不明になっていたセルジナ公国のサルノ王女だった。王女を暗殺しようと暗殺団の魔の手が迫る中、王女は次々と不吉な予言をしていく。数日後、その予言どおり、阿蘇からラドンが復活し、太平洋からはゴジラが姿を現す。さらに、隕石の中から宇宙怪獣キングギドラが出現する。キングギドラを倒すために、ゴジラ・ラドンと共闘しようとモスラが日本にやってくるが・・・。



1964年に公開された、「ゴジラ」シリーズの第5作。それがこの「三大怪獣 地球最大の決戦」である。1964年といえば、東京オリンピックが開催されたことで記憶に残る年だが、本作品はまさに怪獣オリンピックの趣を醸し出している。
1954年にデビューした「ゴジラ」以下、56年の「空の大怪獣ラドン」、61年の「モスラ」で主役を張った怪獣キャラクターを一同に会し、最強の敵・キングギドラと対決させるオールスター映画となった。

もちろん、この私も大好きな映画なのだが、今回改めて見た感想について、まぁいろいろと。

怪獣の一対一の戦いの元祖といえる作品が「キングコング対ゴジラ」だとしたら(その前に「ゴジラの逆襲」もあるけど、怪獣プロレスの元祖はやっぱしこっちだよね)、「怪獣バトル」の元祖はこの作品だと思う。
何にしても、怪獣映画にあるべき要素が満載なのだ。前半のゴジラ対ラドンの横浜〜箱根に至るバトルから盛り上げ、後半のキングギドラ登場から破壊、さらに四大怪獣のバトルへとテンポ良く進めている。故に最初から最後までテンションを落とすことが無い。
ところで、この作品、ゴジラとラドンの怪獣バトルはかなりコミカルに仕上げられている。どう考えても爬虫類と鳥類(?)の戦いなのに、二匹の動きは何処かバタ臭くて人間臭い。ラドンのクチバシに突付かれて目をキョロっとさせるゴジラの顔なんかは、見ていて何か微笑ましい。
その人間臭さという意味で、この作品の最大の見所と言えば、怪獣の会話シーンなのだ。
あ、待って。ブラウザを閉じないで!この作品は怪獣同士が吹き出しで会話するアレじゃないから。(^^;

上のストーリーでも触れたが、キングギドラを倒すためにはゴジラ・ラドンと共闘するしかないと考えたモスラは、富士山麓で二体の単独説得に挑む。ちなみに、この時にモンスター語を翻訳したのはザ・ピーナッツ(「シャボン玉ホリデー」のあの人ね)演じる小美人だった。

それにしてもこの怪獣たちの会話がまた面白い。
「力を合わせてキングギドラの暴力から地球を守ろうではないか」と言うモスラに対し、ゴジラとラドンは、
「俺たちの知ったことか。勝手にしやがれ」
「我々が人間を助ける理由は何も無い。人間はいつも我々のことをイジめているではないか」
など、本当に人間臭いことを言ってのけるのだ。怪獣といえども。生き物はみんな似たようなことを思っているんだな、と実感させられる。

まぁ、そんなこんなでゴジラとラドンはモスラの説得を聞き入れずモスラが単身キングギドラに挑むのだが、そのけなげな戦いぶりをみたゴジラとラドンは、キングギドラに挑んでいく。
実はこの作品、ゴジラが始めてヒーローになった記念碑的作品なのだ。

と、かなり特撮シーンに見所が多いこの作品だが、人間ドラマも見所が多い。物語の主軸となるのは、「007」シリーズにも出演した若林映子演じる「金星人」ことサルノ王女の救出劇。ここに夏木陽介と星由里子が絡む展開はなかなか見ごたえがある。
なお、その他にも近年の「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」に出演した小泉博や、第1作で山根博士を演じた志村喬なども出演しており、映画ファンにも必見の作品と言えるだろう。



「三大怪獣 地球最大の決戦」
監督:本多猪四郎 脚本:関沢新一
特技監督:円谷英二 音楽:伊福部昭

進藤刑事:夏木陽介 進藤直子:星由里子 村井助教授:小泉博
サルノ王女:若林映子 小美人:ザ・ピーナッツ(伊藤エミ・ユミ)
黒眼鏡:伊藤久哉 沖田課長:平田昭彦 金巻班長:佐原健二
寿山号船長:田島義文 帽子を拾う男:大村千吉 塚本博士:志村喬

挿入歌:「幸せを呼ぼう」「聖なる泉」(歌:ザ・ピーナッツ)
封切:1964年12月20日 観客動員数:541万人

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