本日11月30日。
ハリウッドの「ウォーク オブ フェーム」の殿堂入りを果たしたゴジラの除幕式が行われた。
さらに同日、ハリウッドにおいて「ゴジラ FINAL WARS」「ワールドプレミア」が行われた。

それを記念してなのか、単なる「FINAL WARS」の宣伝のためなのかは知らないが、本日はTX系において昨年の「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」が放送された。

1年前のゴジラとの戦闘で、機体の37%を損傷した機龍(メカゴジラ)は、特生自衛隊八王子駐屯地のメインドックにおいて修復作業が行われていた。その機龍の整備士である中條義人は、叔父である言語学者・中條信一の別荘で休暇を過ごしていた。そんな中、義人や信一の前に、インファント島からモスラと小美人がやって来る。43年前、自分たちを人間の味方だと信じてくれた信一に対し、ある忠告をしにやってきたのだ。
その忠告とは、「ゴジラの骨を海に返して欲しい」とのものだった。さらに「人間がゴジラの骨から戦いの道具を作ったのは間違い」「死者の魂に人間が手を触れてはいけない」とも。小美人はもしゴジラの骨を海に返せば、モスラが代わりにゴジラと戦うと言い残し、義人たちの前から去っていく。
機龍の存在を否定された義人は、その言葉に思い悩む。その折、太平洋沖でアメリカの原子力潜水艦が沈没するなど怪事件が勃発。そして遂に、まだ一年前の傷跡が生々しく残ったゴジラが東京に上陸する。上陸したゴジラは機龍のいる八王子駐屯地を目指していた。機龍がゴジラを呼び寄せているのか?特生自衛隊は一年前に戦場となった品川地区でゴジラを迎え撃つが、全く歯が立たない。暴れまわるゴジラを前に、モスラがインファント島から飛来する。しかしゴジラの猛攻の前に劣勢を強いられてしまう。
モスラが懸命に戦う姿を見た五十嵐総理大臣は、機龍出撃という苦渋の判断を下す。
今、首都・東京を舞台とする「大怪獣頂上決戦」が始まった。この戦いが意味するものとは何か?宿命のラストバトルは、全く予想のつかない方向へと展開していく・・・。


まずは作品についていろいろと。

この作品は比較的評判の良かった2002年の「ゴジラ×メカゴジラ」の続編として製作された。また今回の作品は1961年の「モスラ」、1970年の「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」の続編にもなっており、往年の特撮ファンには、感涙モノの設定が作られた。さらに、昨年の主人公・家城茜(釈由美子)や61年の「モスラ」に登場した中條信一博士(小泉博)をゲスト出演させるなど、見所も多い。

さて、ではストーリーなんだけど、良く出来てはいると思う。前作「ゴジラ×メカゴジラ」の設定を上手く引継ぎ、正当な続編としてまとめあげている。
あえて見所を挙げるとするならば、まずは冒頭の雲海においてのモスラとF−15の攻防戦。CGとアナログが結集した映像が良い出来である。また東京を舞台としたゴジラ、モスラ、機龍のバトルシーンも圧巻である。特にモスラの翅のしなりは、1964年の「モスラ対ゴジラ」を彷彿させるもので、最高傑作としっても過言ではないのではなかろうか。その他の特撮技術に関しても及第点と言え、技術的にも躍進を遂げている。ただ一つ残念なのは、あまりにもミニチュア然としたシーンがいくつかあったこと。特に俯瞰のカットや、怪獣たちのアップのシーンの際に映るミニチュアは少々辛いモノがあったね。

一方の人間ドラマ。
こちらは、前回と同じように苦渋を一つのテーマとして描いており、主人公の義人(金子昇)や信一、五十嵐総理大臣(中尾彬)などの苦渋が上手く描かれており、見ていて好感が持てる。
だが、本来のヒロインであるハズの如月梓(吉岡美穂)の影がいまひとつ薄いんだよな。
メカオタクである義人に向かって恋心をほのめかせる「メカの気持ちはわかるくせに、人間の気持ちには疎い」なんて印象的なセリフはあるものの、何だかヒロインは小美人だったような気がするほど、彼女の存在が残らない。

これは脚本の所為もあるんだろうけど、やっぱり尺の短さが問題なんだろうねぇ。
この映画の上映時間は91分。ちょっとこれは短すぎたね。実際、公開当時の資料を読んでみたら「最初(編集で)繋いだ時は1時間55分あった」と監督が語っているように、もう少し長くて人間ドラマがしっかりしていた。ところが、90分前後にしたいという製作者側の意向により、人間ドラマがいくつか削られてしまったのである。

確かに90分間だと飽きることは無く、前作「ゴジラ×メカゴジラ」は短い上映時間であることがプラスになっていた。でも、この「東京SOS」は寧ろマイナスになってしまっている。これはちょっと残念かな。

とはいっても、元の出来はいい。
ゴジラ映画の中でも間違いなく傑作の部類に入ると思うし、実際巷の評判は良いほうであった。
さらに、あのラストシーンも良かったと思う。
やっぱり、このシリーズのテーマである「命の大切さ」を表現するには、あれ以外のラストではダメだったと思うしね。



さて、このテレビ東京の放送が、どれだけの視聴率を稼ぎ出すか。



今から楽しみだね。



「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」
製作:富山省吾 脚本:横谷昌広・手塚昌明
音楽:大島ミチル 特殊技術:浅田英一 監督:手塚昌明

中條義人:金子昇 如月梓:吉岡美穂 秋葉恭介:虎牙光規
富樫:高杉亘 一柳:中原丈雄 小美人:長澤まさみ・大塚ちひろ
神崎:益岡徹 二階堂:升毅 秋葉功:清水鉱治 土橋:上田耕一
家城茜:釈由美子 中條信一:小泉博 五十嵐隼人:中尾彬

封切:2003年12月13日 観客動員数:110万人

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