さっそく今日は「ゴジラ FINAL WARS」の感想をいろいろ書いてこうと思う。

とはいえ、書きたいことが多すぎるので、今日は本編に絞って話を進めていこう。
本当は、こういう特撮映画で、本編と特撮を分けて考えることは悪いコトなのだが、本編と特撮、両方のことについて書き始めるととても長くなるので、便宜上二つに分ける、ということでご了承いただきたい。

おっと、まずは「ゴジラ FINAL WARS」のストーリーをカンタンに。

度重なる戦争と核実験は、眠っていた巨大怪獣を呼び覚ましてしまった。それに対抗するため、人類は地球防衛軍を設立。また同時に、特殊人類・ミュータントを集めた、対怪獣用防衛組織「M機関」を組織した。
そんな中、北海道沖で巨大怪獣のミイラが発見され、防衛博物館に運ばれる。調査に向かった分子生物学者音無美雪(菊川怜)と、M機関のミュータント兵・尾崎真一(松岡昌宏)は、インファント島の小美人から、ミイラ怪獣が1万2000年前にモスラと戦ったガイガンであると知らされる。
そしてその時、世界中に突如巨大怪獣が現れた。ニューヨークにラドン、上海にアンギラス、パリにカマキラス、アリゾナにクモンガ、沖縄にキングシーサー、さらにシドニーにはトカゲに似た巨大生物が現れた。その巨大怪獣の数に、防戦一方となる地球防衛軍。
だが突然現れた円盤が光線で怪獣たちを消滅させた。怪獣たちを消滅させたのは、x星人と名乗る異星人だった。彼らは地球に友好を求めるが、彼らの思惑を知った美雪の姉・杏奈(水野真紀)がX星人の正体を明かす。
遂に本性を表したX星人は世界中に怪獣たちを投下。破壊の限りを尽くす。
もはや、X星人によって地球は滅びてしまうのか?
しかし、万能戦艦・轟天号の艦長、ゴードン(ドン・フライ)はある作戦を思いついた。それは、南極に眠るゴジラを目覚めさせることだった。

今、人類の希望を担ったファイナル・ウォーズが始まる!




それでは、本編についてあーだこーだ言っていこう。

まず始めに言いたいことは一つ。
「ゴジラ FINAL WARS」の人間ドラマは、北村一輝に尽きるということだ。

ご覧になった方ならわかると思うが、彼の壊れっぷりが凄い。
彼の役どころは、X星人統制官というものなのだが、とにかく壊れている。

何が壊れているかと言えば、その台詞が凄いんだな。

「地球人の諸君。君たちは家畜だ!」
「奴らに家畜の気分を思い知らせてやる。全文明を破壊せよ!」
「ザコは殺せ!」
(ゴジラにやられるアメリカ版ゴジラっぽい怪獣を見て)「やっぱりマグロなんか食ってるようなヤツじゃダメだな・・・。次!」


・・・って文章だけ並べてもいまひとつわかりにくいんだけど、この言い方が何かいいんだな。
まさに、こう悪役ってカンジでね。
今までの「ゴジラ」映画にはないキャラクターだったし、表情の作り方が上手い。
さらに、尾崎(松岡昌宏)に「俺たちは家畜じゃない。人間だ」と返された時の不気味な笑いがとてもつもなく上手い。
さらにさらに、ゴジラに次々とやられる怪獣たちの姿を見ての、ブラックユーモア溢れる皮肉が絶妙にはまる。

あとね、容赦なく人を殺す非情さが憎い。

ここまで型にはまった悪役って無いと思うよ。
轟天号の乗組員を「ザコは殺せ」の一言で容赦なく殺してしまうんだもの。恐ろしいったらありゃしない。
このシーンは後々賛否両論を呼びそうだけど、キャラ付けとしてはなかなかだったんじゃないかな?

「ゴジラ FINAL WARS」北村龍平と、北村一輝という二人の北村で成り立っていると言っても私は過言ではないと思う。



とはいえ、やっぱりそれは言い過ぎか。

「ゴジラ FINAL WARS」のドラマの見所はまだまだ多い。

いきなり北村一輝の話で始めてしまったが、今回の本編は要するにどうだったのか?

一言で言えば、この映画はアクション映画だね。
ストーリーも何もあったもんじゃない、と言ったら言い過ぎだが、ゴジラ映画なのにも関わらず、やたらに人間アクションばかりが記憶に残る。
最後の最後に、ここまで掟破りをしたのも驚きだが、私はそれを歓迎したい。

いつまでも過去のしきたりに束縛されていたのではいいものは生まれないからだ。

それで、そのアクションなんだけど、この映画、メインタイトルが始まった直後から、いきなり尾崎(松岡昌宏)風間(ケイン・コスギ)の格闘シーンから始まる。
二人の格闘シーンはその後も続き、横浜においてのバイクアクションシーンに繋がれる。

その後は二人のアクションシーンではないが、大きなアクションシーンはまだまだ続く。
例えば東京での対エビラ戦。これは、怪獣と人間のガチンコの対決を迫力満点に描いている。

そしてクライマックスは、X星人のUFOの中の戦いである。
本来ならば、ゴジラ映画というのは怪獣対怪獣のクライマックスがメインだが、今回ばかりは、UFOの中の戦闘シーンがメインかもしれない。

ひょっとしたらこれは邪道なのかもしれないけれど、最後ぐらい。こんな無茶苦茶をしてもらった方が気持ち良い。
しかも、その戦闘シーンでのワイヤーアクションを始めとするクオリティはとても素晴らしい。

しかも、宝田明・水野久美など往年のスターにもアクションさせるんだから凄いよね。

北村龍平には、もう脱帽だ。

最後に、今作品におけるゲスト出演者について語っていこう。

冒頭、轟天号の初代艦長と副艦長を平成ゴジラシリーズでおなじみよなった中尾彬・上田耕一が、TVの討論会パネラーにマイケル富岡・大槻義彦・篠原ともえ・角田信朗・木村大作・松尾貴史が本名で登場(まさか「火の玉研究」でおなじみの大槻教授を出すとは)。また本名の役では小橋賢児が出演。さらにそのシーンでは北村監督本人も出演している。

その他にも、佐野四郎、高杉亘、橋爪淳、谷原章介、さとう珠緒、羽鳥慎一など豪華キャストが集結。



それぞれ心憎い演出で出演しているので、思わず笑ってしまうこと請け合いだ。



「ゴジラ FINAL WARS」
製作:富山省吾 脚本:桐山勲・三村渉
音楽:キース・エマーソン 特殊技術:浅田英一 監督:北村龍平

尾崎真一:松岡昌宏 音無美雪:菊川怜
ダグラス・ゴードン:ドン・フライ 風間勝範:ケイン・コスギ
音無杏奈:水野真紀 熊坂:船木誠勝 小美人:長澤まさみ・大塚ちひろ
神宮司八郎:佐原健二 波川玲子:水野久美 田口健太:須賀健太
田口左門:泉谷しげる X星人参謀:北村一輝 同・司令官:伊武雅刀
小室:国村準 醍醐直太郎:宝田明

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