また衝動買いしてしまった・・・(汗

どうも私という人間は、店頭で最初に目をつけた商品を購入するクセがあるらしい。まぁ、この作品はDVD出たら買おうと思ってたから、それはそれで良いんだけどね。

さて、今日のお話はそんな衝動買いによって購入した「ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記」

ドラえもんが22世紀の商店街の福引きでもらってきたのは、なんと小惑星。のび太はそこにおもちゃの町・ねじ巻き都市(シティ)を作ることにした。
 生命のねじでぬいぐるみやおもちゃを動けるようにし、タマゴコピーミラーでどんどん増やして、町の住人を増やしていった。しかし、おもちゃたちは進化しはじめていた。
 そこへ、どこでもドアを通って地球から凶悪犯の熊虎鬼五郎がねじ巻き都市にやってきた!
鬼五郎はタマゴコピーミラーで自分の分身をどんどん作り、湖に沈んだ金塊(きんかい)を盗もうとする。しかし、それは金塊ではなく、金色の怪物だったのだ!
 鬼五郎といっしょにドラえもんたちも怪物に追いかけられ、のび太は地割れの中に落ちてしまった。地割れの底で、のび太は襲いかかってきた怪物と話をする。怪物は「種まく者」と名乗り、実は姿を変えながら星に生物の種をまいている神様だったのだ。のび太と話をした「種まく者」は、あとはキミにまかせると言って、ねじ巻き都市から去っていった。
 宇宙へ逃げ出していた鬼五郎は、金色の怪物が去っていくのを見て、ねじ巻き都市の征服にとりかかるのだった…。
 果たしてドラえもんたちは、鬼五郎から、ねじ巻き都市を守ることができるのだろうか?


(※映画「ドラえもん」25周年オフィシャルサイト http://dora-movie.com/より抜粋)


1996年9月23日、マンガ「ドラえもん」の生みの親である藤子・F・不二雄先生が逝去された。この作品は、その藤子先生の遺作となった作品である。
藤子先生が亡くなった当時、私はまだ小学校低学年だったので先生の死というものは、正直まだよくわからなかったのだが、子供心に何か偉大な方がいなくなってしまったという気分になったものだった。確か当時は藤子先生に関する特別番組が数多く放送され、関東では89年の「日本誕生」が「追悼」という形で放送されたのを覚えている。
そしてその翌年に、この「ねじ巻き都市冒険記」が公開されたワケなのだが、公開当時のパンフレットにも藤子先生の死に関しての記述があった。そのぐらい、先生の死はドラえもんファンに大きな衝撃を与えたのだ。

そんなご時世の中で公開された映画だからなのか、久々にこの作品を見ていて当時のことをいろいろと思い出してしまった。
この作品、ファンの間ではいまひとつ評価が芳しくないようだが、私にはとても面白く感じられた。とにかく、次から次へと見せ場のシーンが起こるので、とても興奮させられる。歴代「ドラえもん」映画の中でもハラハラドキドキさせてくれる方ではないだろうか。
物語の冒頭は、大長編のパターンで物語が進行し、生命のねじを使ってぬいぐるみたちに「命」を与え、おもちゃの街を作っていく、という展開なのだが、そこに脱獄犯の熊虎鬼五郎が迷い込み、あわや・・・という風になっていく。その上、星を作った「種まく者」まで登場し、物語に深みを与えていく。しかもその「種まく者」が黄金の巨人の姿で現れ、謎が謎を呼んでいく。
まぁ、敵が脱獄囚であるということでスケールが小さくなってしまったとか、鬼五郎がねじ巻き都市へ迷い込む展開がいささか強引だという難点もあるものの、敵キャラをあえて人間に設定したことで、敵の恐ろしさが倍増しているんじゃないかなぁ?
また、この作品でも大きな見せ場なのが、のび太が崖へ転落するシーンだよなぁ。あのシーンを始めて見た時は、この先どうなるんだろう、とドキドキしたモンである。また、時限爆弾の爆発によってドラえもんも一時気絶するし、「本当に登場人物たちが死んじゃうんじゃないか」と心配になったことをよく覚えている。

と、この映画はかなり見せ場が豊富な所謂「ジェットコースタームービー」なカンジなんだけど、結構テーマは重い。
今回メインとなるドラえもんの秘密道具は「卵コピーミラー」というシロモノなのだが、これって要するにクローン製造機なんだよね。
この設定って、真剣に考えてみると結構ゾッとする。秘密道具で10数人に増えた鬼五郎を見ていると、この歳になってから見たほうが怖さが倍増する。結局鬼五郎は、ラストで彼に潜在していた「善の感情」が蘇り、自首するという結末を迎えるのだが、もしあのまま鬼五郎が複数いたらどうなっていたのだろう?
こんなコトを安易に言うのはどうかと思うが、この作品には「クローンを作るな」という秘められたテーマがあるのかもしれない。

とはいっても、基本は明るい「ドラえもん」映画。やっぱり物語には「希望を持つ」というメッセージが込められているし、「おもちゃが命を持って子供たちと遊ぶ」という誰もが夢見た物語を映像化しているので、久々に暖かい気分になれたね。(^。^)y-.。o○
あと個人的に嬉しかったのは、大好きな前作「銀河超特急」のハナシが出てきたこと。劇中でしっかり「ドリーマーズランド」という台詞が出てきた時は、ホントに嬉しかった。

さてさて、最後はいつもどおり主題歌のお話。
これまで「ドラえもん」映画の主題歌を手掛けていた武田鉄矢さんは、藤子先生の死に伴って「ドラえもん」映画を卒業され、今作から毎回違うアーティストが主題歌を手掛けることになる。
トップバッターとなったのは「ファンキーモンキーベイビー」などのヒット曲で知られる矢沢永吉。「世界の矢沢」と言われるほどのビックネームを持つ彼だから、武田さんの後任には持って来いであると言えると思う。
ただ、個人的にはいまひとつ。主題歌のLove is youは素晴らしい曲なんだが、今回から劇中で使われなくなった所為かイマイチ印象に残らない。また英語の歌詞が多いことも難点だし、世界観にあっているか、ってのも微妙。
寧ろ今回は、この作品でひとまず大長編から退陣した音楽の菊池俊輔さんの功績が大きいと思う。特に黄金の巨人が宇宙へ飛び立つシーンの組曲や、ラストバトルの音楽、そして「のび太のテーマ」ともいえるウェスタンテーマは、物語に大きな効果を与えているよね。
この作品を最後に登板されなくなったのが残念。




「ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記」
製作総指揮・原作・脚本:藤子・F・不二雄
監督:芝山努 音楽:菊池俊輔

ドラえもん:大山のぶ代 のび太:小原乃梨子
しずか:野村道子 ジャイアン:たてかべ和也 スネ夫:肝付兼太
ピーブ:佐々木望 プピー:白川澄子 ウッキー:よこざわけい子
ホクロ:松尾銀三 種まく者(少年):伊倉一恵 熊虎鬼五郎:内海賢二

主題歌:「Love is you」(歌:矢沢永吉)
     「ドラえもんのうた」(歌:山野さと子)
封切:1997年3月8日 観客動員数:390万人

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