お金のお話

2005年2月10日 ゴジラ
先日、映画「ゴジラ FINAL WARS」の興行成績が「日経エンタテイメント」誌上にて発表された。
それによると、本作「FINAL WARS」は興行収入12億、観客動員数100万人という結果に終わったらしい。
昨年正月に公開された前作「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」の成績が興収12億、動員110万人だったから、前作とほぼ同程度の成績であったといえる。ただ昨年は「とっとこハム太郎」との併映だったため、パーセンテージ的には前作より成績は良かったことになる。

とはいえ、当初観客動員1億人突破のために掲げていた目標である175万人には届かず、残念ながら有終の美を飾ることはならなかった。また前作の制作費が10億円弱だったのに対し、今回の制作費は20億円。つまり東宝にとっては倍の赤字になってしまったようである。まぁ、東宝は海外上映によって儲けるつもりのようだから、今回の興行成績に関してはあまり重く受けてとめてはいないんだろうな。

では、何故このような成績に終わってしまったのだろう?
そこのところを、ちょっと考えてみようと思う。

参考までに、99年以降に製作された所謂「新世紀ゴジラシリーズ」の興行収入と観客動員数を見てみよう。

・「ゴジラ2000 ミレニアム」
封切:1999年12月11日 観客動員数:200万人 興収:16.5億円 
日本映画興行収入第6位
・「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」
封切:2000年12月16日 観客動員数:135万人 興収:12億円 
日本映画興行収入第12位
・「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」
封切:2001年12月15日 観客動員数:240万人 興収:27億円 
日本映画興行収入第3位
・「ゴジラ×メカゴジラ」
封切:2002年12月14日 観客動員数:170万人 興収:19億円 
日本映画興行収入第8位
・「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」
封切:2003年12月13日 観客動員数:110万人 興収:12億円 
・「ゴジラ FINAL WARS」
封切:2004年12月4日 観客動員数:100万人 興収:12億円

これを見てみると、以外にも作品の評価と観客動員数は比例していないことがわかる。
例えば、作品的な評価はあまり芳しくない「ゴジラ2000」の観客動員数は200万人とまずまずの結果を出している。だが評判の良かった「メガギラス」は135万人と低下し、翌年の「大怪獣総攻撃」(以下GMK)では「ハム太郎」との同時上映によって数字を回復するが、それ以降右肩下がりの成績となってしまっている。

これら「新世紀ゴジラ」シリーズの作品評価は、決して低くなかったのに、何故数字は下がり続けてしまったのだろう?
まず最初に考えられる原因は「宣伝不足」であろう。99年の「ミレニアム」の時には、各局でTVスポットが打たれ、劇場予告編も早いうちから上映されていた。また関連グッズも続々と発売され、TVの特別番組も放送された。「ミレニアム」の興行収入が作品評価に対してまずまずなのは、このような宣伝効果によるものだろう。また「GMK」ではゴジラが雑誌の表紙を飾ったり、「×メカゴジラ」では「釈由美子主演!」と大々的に宣伝したので数字的にはまずまずの結果に落ち着いている。
しかし「メガギラス」「SOS」「GFW」の3作に関してはTVスポットがあまり放送されず、宣伝キャンペーンも疎かだった気がする。特に「SOS」はTV東京の一部でしか宣伝しないなんていう「やる気の無い」行為が見られた。これでは動員に結びつかないのもムリは無い。これは「GFW」とて同様である。

二つ目の原因は「同時上映の思わぬ誤算」だろうか。
2001年の「GMK」から2003年の「SOS」まで、ゴジラ映画は「とっとこハム太郎」と同時上映されていた。このことは各メディアで大々的に報道されてたので、ご存知の方も多いと思う。その結果、「ゴジラ」映画の数字は回復。確かに「ハム太郎」はゴジラの動員を助けた。
とはいえ、「ゴジラ」が主に小学生から大人までを対象とした作品なのに対し、「ハム太郎」は幼稚園から小学校低学年を対象とした作品であり、この二つの対象年齢は実はかぶらないのだ。その所為か大人は「ハム太郎があるから」という理由で映画館に来なくなり、同じく小さな子供たちも「ゴジラは怖い」という理由で映画館に来なくなった。このミスマッチなカップリングが、結果的には数字の伸び悩みに繋がってしまったのではないだろうか。

そして最後の理由は悲しいかな「キャラクターとしての衰退」になってしまうようだ。
「ゴジラ」映画が平均観客動員数300万人を超えていた90年代前半は、キャラクターとして「ゴジラ」が独占状態を続けていた。当時はジブリも今ほど注目されていなかったし、数字的には成功していたのは「ドラえもん」ぐらいだった。
ところが「ポケモン」が登場した辺りから状況は一変し、現在は様々なキャラクターが縦横無尽にメディアを飛び回る結果となり、事実上「ゴジラ」の独占状態は終わってしまった。
ただこの状態は「特撮界の衰退」を意味するモノではないとは思う。何故かと言えば、現在は「ゴジラ」以外にも「ウルトラマン」「仮面ライダー」を始めとする特撮モノが数多く存在し、「特撮といえばゴジラだけ」という状態になっておらず、特撮の人気が数々のキャラに分散してしまったのではないか、と思うのだ。
今回の「GFW」の成績はその辺りが影響しているのではないだろうか(まぁ、今回に限って言えば「ハウル」にかなり食われてしまったようだがね^^;)。

と、まぁ最後の最後に満足の行く結果が出せなかったようだけど、何度もこういう経験をしている「ゴジラ」映画だから、数年間間を開ければまた「ゴジラ」が求められる日が来るだろう。

実際、75年の「メカゴジラの逆襲」で97万人まで下がった観客動員数が、17年後の92年に420万人にまで回復(「ゴジラVSモスラ」)してるんだから、可能性が無いわけはない。


だって、歴史は繰り返すハズだから。。。

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