実は私、今は5連休中なんだよね(^^;
いやいや、テストが近いからホントは勉強しなきゃなんないんだけど、某レンタルショップからいろいろソフトを借りてきちゃったので、ここ数日はそれをずっと見てるんだよなぁ。。。

そういうワケで、今日のお話はこの前借りてきた、映画「ゴジラ1985」

伊豆諸島・大黒島の大噴火から3ヵ月後。付近の海で漁船・第5八幡丸が嵐により遭難した。その中で唯一生き残った船員は、嵐の中で巨大生物の影を見たと言う。その生物は紛れも無く、復活したゴジラだった。だが日本政府はパニックを恐れ、この事実を隠ぺいする。その後ゴジラはソ連原潜を襲い、静岡県の原発を急襲。米ソの関係が緊張する中、日本政府はゴジラの存在を公表する。それに伴い、米・国防総省は30年前のゴジラ襲撃の際に、唯一生き残ったアメリカ人であるスティーブ・マーチンを呼び寄せる。マーチンは、ゴジラの存在を理解することが大切だと主張し、全米に警告を放つ。そして遂にゴジラが東京に上陸し。破壊の限りを尽くす。政府は首都防衛移動要塞・「スーパーX」を出撃させ、ゴジラを迎え撃つが・・・。


この作品は、1984年に公開された、映画「ゴジラ」を海外で公開する際に追加・編集した海外版である。
監督にR.J.カイザーを迎え、キャストには第1作の海外版「怪獣王ゴジラ」に出演したレイモンド・バーを出演させるなど、「海外版」の続編と言う形の作品に仕上がっている。
この「ゴジラ1985」は、主にオリジナルでは描ききれなかったアメリカの対応を補足したといえる作品で、米・国防総省(ペンダゴン)のシーンが登場したり、ソ連の態度がオリジナルと少々異なったりと、完全に「アメリカ向け」の作品に変わってしまった。

その「ゴジラ1985」を今回見てみたんだが、ハッキリ言ってメチャメチャ
正直「どうしてこうなる?」と首を傾げっぱなし。オリジナルを知ってると、どうしても失笑の連続になってしまう。今回は、そんな滅茶苦茶な「ゴジラ1985」と、オリジナルの「ゴジラ」との違いについて話していこう。

まずね、編集がハチャメチャ。オリジナルでは、第5八幡丸の遭難シーンの後に、主人公である牧五郎(田中健)が遭難した奥村宏(宅間伸)を発見するというくだりなんだが、海外版ではこの間にマーチン(レイモンド・バー)が登場する。と、まぁここまではオリジナルと大きな差異は無いんだが、この海外版とやらは、牧が奥村を発見したシーンの直後に首相官邸のシーンに飛び、ゴジラの存在がまだ明らかになっていないのに三田村首相(小林桂樹)がゴジラの存在を語るというワケの分からない展開になっている。その唐突な展開にのけぞっているヒマも無く、今度はシーンが一気に牧の編集室に飛び、さらに拍子抜け。
実はオリジナルではここまで細かなやりとりが結構ある。例えば、生きていた奥村が恩師である林田信(夏木陽介)に第2警察病院で会い、林田が奥村と内閣のメンバーにゴジラの存在を予感させるシーン、また牧の勤め先である新聞社「東都日報」の大島通信局のシーンなどがばっさりカット。
あ、そういえばオリジナルでは宅間伸の役柄は、奥村だったのだが、海外版では何故か奥村になっていた。

しかし、こんなトコで驚いている場合ではない。
この作品では、ゴジラがソ連原潜を襲った後に、米・国防総省のシーンが登場し、30年前のゴジラ目撃者のマーチンが相談役として招聘される、というくだりになる。と、まぁ文章で書いてるだけならイイんだが、追撮シーンが安っぽいのなんのって。「ペンダゴンの内部ってあんなに狭いのかい?」と言いたくなくても言ってしまうし、せっかく出てきたマーチンも「ゴジラの上陸には何か目的がある」と伏線っぽいことを言っておきながら、後で何の説明もなし。

その後のオリジナルの展開は政府がゴジラの存在を公表し、ゴジラが井浜原発を襲撃。米ソ特使が「東京で戦術核兵器を使わせて欲しい」と日本の三田村首相と会談する、という風になっていくのだが、「1985」では原発と会談シーンの順序が逆になり、米ソとの会談シーンも大幅に短くなっている。例えば、オリジナルでは会議が2回に分けて行われるのに対し、海外版では1回のみ。しかも三田村首相は非核三原則を理由にカンタンに退ける、という展開になっている。コレに対しオリジナルは三田村首相が非核三原則を理由にしても、米ソはそれに反発し、三田村首相がそれを「米ソのエゴ」だと主張、そして米ソの最高責任者と電話会談し、「もしあなたがたの国、アメリカとロシアにゴジラが現れたら、首都ワシントンやモスクワでためらわずに核を使える勇気がありますか?」などといったとても印象的な台詞があったのだが、その辺りはまたばっさりカット。
これはやっぱり、アメリカが悪役っぽくなってるから、なのかね?

と、ここまで見てきてもかなり滅茶苦茶なのだが、最大の違いはロシアの特使カシリン大佐の役割である。オリジナルではゴジラの所為で誤って発射された核弾頭を「何としても止めなければ」と必死だったカシリンだが、海外版では「何としても発射してやる」になっている(^^;
恐らく、当時の米ソの冷戦を反映したシーンだからこそなのだろうが、正直「ここまでやるか」な気もしない。ただ、ロシアのミサイルをアメリカが迎撃ミサイルで破壊するくだりは、この海外版の方が自然に感じられるかもしれない。また、ミサイル命中後にペンダゴンのシーンが挿入されるなど、このシーンに限っては改ざんは成功していると言えよう。

最後に特撮シーンに関して。
特撮シーンは大きな改ざんは無く、新撮シーンも無い。ただ細かい編集がオリジナルと異なっており、新宿においての細かい描写が東京湾〜新宿のシーンに挿入されており、オリジナルよりこのシークエンスが長くなっている。だが、この編集にはツメの甘さが垣間見えており、まだ晴海ふ頭にいるハズのゴジラがイキナリ新宿にいるように見えたりとまたまた失笑してしまう。

いかがだっただろうか。
正直、ここまでハチャメチャだとは思わなかった。しかもラストに至ってはこんなナレーションがかかる。

自然は人間の卑小さを思い出させてくれる。
自然の猛威ゴジラは地の底に消えた
 二度と現れることはないだろう


はい?(^^;
じゃぁ、私が今まで見てきた「ビオランテ」以降の物語は幻だったのかね?


そんなこんなで、とにかく滅茶苦茶な映画。
これだったら、オリジナルをそのまま上映した方が絶対良かったと思う。



「ゴジラ1985」
製作:田中友幸 脚本:永原秀一
音楽:小六禮次郎 特技監督:中野昭慶 監督:橋本幸治
<追加スタッフ>
製作:アンソニー・ランデル 脚本:リサ・トメイ
追加音楽:クリス・ヤング 監督:R.J.カイザー

三田村首相:小林桂樹 牧吾郎:田中健 奥村尚子:沢口靖子
奥村宏(健):宅間伸 林田信:夏木陽介 浮浪者:武田鉄矢
<追加キャスト>
スティーブ・マーチン:レイモンド・バー
グッドホー:ウォーレン・J・カメリン
マクドナウ:トラビス・ソード

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