今日のお話はこの作品。TV放映は3月28日だが、時間が無くてレビュー出来なかったので、今日の日記で書きたいと思う。

舞台女優の樹里のところへ怪盗キッドから彼女の所有するスター・サファイア「運命の宝石」を奪うという犯行予告状が届く。毛利探偵事務所にその解読の依頼があり、キッドの犯行を予感した小五郎はコナンらと樹里の公演の行われる汐留に新設された劇場「宇宙」に出かける。


毎年毎年、高いクオリティと高い興行収入を打ち出している劇場版「コナン」。本作「名探偵コナン 銀翼の奇術師」は、その劇場版「コナン」シリーズの第8作目にあたる作品である。今回のテーマは「航空パニック」であり、ラストのアクションは見物。

そういうワケで、今回のTV放送で劇場公開以来1年ぶりに見てみたのだが、相変わらず高いクオリティを持った作品を輩出してくれたと痛感させられた。
正直な話、レギュラー放送はマンネリを感じて、あんまり見てないのだが、劇場版は何度か見に生かせて貰っている。だいたい劇場版の方は推理よりもアクションを推し進めている感があるのだが、今回はそれが頂点に達したように思う。冒頭はいつも通りの展開で話が進み、後半は機内で起きた毒殺事件をきっかけにパイロットが中毒症状を起こし(原因は被害者の手の甲についた毒を、パイロットたちがキスによって体内に含んでしまったため)、あわやという展開になるのだが、毎度の如くテンポ良くストーリーを進めてラストに結んでいる。また、それにコナン最大のライバルである怪盗キッドを絡め、盛りだくさんの内容になっている。それでいて詰め込みすぎな印象も受けないので、作品の出来としては豪華なモノになっており、非常に楽しめた。
ただ、本作は少々不満が目立つものであったような気もしなくは無い。まず、「世紀末の魔術師」に比べてキッドの存在が弱くなってしまったのは否めない。映画前半では大規模な空中戦があったりするが、ラストはすっかり泥棒としての魅力は影を潜め、「通りすがりの正義の味方」になってしまった(もともとキッドは悪役キャラではないけれど)。そのため、キッドの個性が微妙に弱かったんじゃないかな、とは思う。また、蘭の母親である妃英理を半ば強引に登場させた印象も払拭出来ないし、それと共に夫である小五郎の存在もシリーズの中で最も薄い。正直、ラスト近くは小五郎の存在も忘れてしまったぞ。

とはいえ、開き直ってアクションをメインにしたので、見ている間は大して気にならない。また、航空会社を徹底的に取材したのか、飛行機描写のリアルさは特筆に値する。特にデータコードが絡む辺りは、関係者も驚くことだろう。空港内部の描写も丁寧に描かれていて良いし、中でも出発ターミナルの電光掲示板に表示される到着地の天気まで描いたのには感動した。また、パイロットたちが倒れ、コナンたちがどこに不時着させるのか議論するくだりは、あまりにもリアルで脚本の練りこみが伺える。

ところで、この作品、意外にキャスティングが豪華だったりする。殺される樹里役には今や「アンパンマン」のアンパンマン役でお馴染みとなった戸田恵子が出演しているし、キッドが変装する男役には三木眞一郎が出演していたりして、俳優・声優ファンでも楽しめる作品になっているのではないだろうか。





「名探偵コナン 銀翼の奇術師」
原作:青山剛昌 脚本:古内一成
音楽:大野克夫 総作画監督:須藤昌朋 監督:山本泰一郎

江戸川コナン:高山みなみ 毛利蘭:山崎和佳奈
毛利小五郎:神谷明 怪盗キッド/工藤新一:山口勝平 阿笠博士:緒方賢一
円谷光彦:大谷育江 吉田歩美:岩居由希子 小嶋元太・高木刑事:高木渉
灰原哀:林原めぐみ 牧樹里:戸田恵子

主題歌:「Dream×Dream」(歌:愛内里菜)
封切:2004年4月17日 興収:28億円

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