どうして4月はこんなにも忙しいのか。
そんなことをつくづく思う今日この頃。前回の日記からかなり間が開いてしまったが、ゴールデンウィークに入るというコトで、書くのを再開することが出来そうだ。あまりにも更新が滞ってしまったので、一時はここの閉鎖も考えたが、もう少しだけ続けさせていただきたい。なお、前回「新ドラえもん」の感想を書く、みたいなことを言ったが、もう月日も経ってしまったので、3話以降の話題のみに限定して書いていきたいと考えている。
そういうワケで、久々のお話は映画「海底軍艦」のお話。
「海底軍艦」は押川春浪の原作「海底軍艦」を元に本多・円谷監督の名コンビによって製作され、1963年に公開された作品である。この作品は、細かく描かれた人間描写もさることながら、海底軍艦・轟天号の斬新なデザインが話題を呼び、「東宝特撮映画の最高傑作」とも謡われている。
さすが東宝特撮映画の中でも評判の良い作品。今日始めて見たけど、人間ドラマがよく練られていて面白かった。一応、ムウ帝国の守護神としてマンダが出てはくるが、この映画は「怪獣映画」とは言いがたい。メインはやはり轟天号ということになるが、これは「海底軍艦」というタイトルを借りた神宮司大佐(田崎潤)の物語であろう。
戦争が終わったと知らず、大日本帝国が太平洋戦争に勝つために、日本から遠く離れた秘境の島で、部下と共に轟天号を建造する神宮司大佐の姿はどこか切ない。終戦から20年経ち、娘と再会するも「家庭を顧みることは女々しい」と考えられた戦時中の考えにより、素直に娘に接することが出来ないその神宮司の悲しさは我々の心に戦争と言うものの悲しさを感じさせてくれる。だからこそ、映画後半で「戦争」という心の鎧を脱ぎ、轟天号を駆ってムウ帝国撃滅に向かう神宮司大佐のシーンは、東宝特撮映画屈指の名シーンに仕上がっていると思う。
ところで、この神宮司大佐の姿を見て、1972年にグァム島で発見された横井庄一氏のことを思い出した方も少なくないのではないか。彼は轟天号こそ建造してはいなかったが、同じようなことは実際に起きていたワケで、そういう意味でもこの作品の人間ドラマは非常にリアリティに富んでいる。
そんなわけで、神宮司大佐が素晴らしいのだが、それ以外のキャスト陣も魅力的なのがこの作品の特徴。62年の「キングコング対ゴジラ」で名コンビぶりを発揮した高島忠夫・藤木悠コンビが再び顔を揃えているし、特撮映画の常連、佐原健二が珍しく敵役として登場しているし、佐原と同じく常連である小泉博が刑事役で出演するなど、特撮映画ファンにはたまらないキャスティングとなっているではないだろうか。
もちろん、本来の主役である海底軍艦・轟天号の存在も忘れてはならない。そのカッコ良さは巨大なドリルに代表され、空を飛び陸を行き海を潜る、まさに万能戦艦と呼ぶに相応しい。クライマックスでその巨大なドリルを使ってムウ帝国をぶち抜くシーンは、実写の迫力を存分に見せ付けてくれた。そこに伊福部昭の斬新なマーチがかかるのがまたイイ。ただ、メイン主砲であるハズの冷戦砲が、効果音の所為か妙にしょぼく見えてしまうのがタマにキズか。ちなみにこの轟天号は最新作「ゴジラ FINAL WARS」で勇ましい復活を遂げていることは承知の事実である。
その他特撮的な見所としては、やはり丸の内の陥没シーンか。従来の用にミニチュアの破壊に止まらず、一気に多くのミニチュアを破壊することにより、迫力を生み出すことに成功している。それと同時に、東京湾に停泊している旅客船を爆破するシーンを用意するなど、従来どおりの破壊シーンで観客を魅了しているのも偉業と言えよう。ただ一つ残念なのが、轟天号対マンダのシークエンスがあまりにもあっけなさすぎることか。まぁ、こちらも「ゴジラ FINAL WARS」でリターンマッチを行っているので、そちらに任せることにしたい。
んで、そんなこんなでこの「海底軍艦」をキッカケに怪獣映画以外の特撮映画に手を出してみようかと思うわけで、間違いなく面白い作品だったな、この作品は。
次回は「地球防衛軍」に手を出してみようかな?(^^;
「海底軍艦」
製作:田中友幸 脚本:関沢新一
音楽:伊福部昭 特技監督:円谷英二 監督:本多猪四郎
旗中進:高島忠夫 神宮司真琴:藤山陽子
伊藤刑事:小泉博 楠見:上原謙 西部善人:藤木悠
海野魚人:佐原健二 天野兵曹:田島義文 神宮司大佐:田崎潤
封切:1963年12月22日
そんなことをつくづく思う今日この頃。前回の日記からかなり間が開いてしまったが、ゴールデンウィークに入るというコトで、書くのを再開することが出来そうだ。あまりにも更新が滞ってしまったので、一時はここの閉鎖も考えたが、もう少しだけ続けさせていただきたい。なお、前回「新ドラえもん」の感想を書く、みたいなことを言ったが、もう月日も経ってしまったので、3話以降の話題のみに限定して書いていきたいと考えている。
そういうワケで、久々のお話は映画「海底軍艦」のお話。
広告写真家旗中と助手の西部がモデルと狙っている美人がいた。光国海運専務楠見の秘書で神宮司真琴だ。或る夜、旗中が楠見と真琴の車をつけていた時、不思議な事が起った。楠見と真琴がムウ帝国工作隊員と名乗る男に、誘拐されようとしたのだ。旗中の活躍で奇怪な男は海に消えていった。ムウ帝国とは、約一万二千年前、太平洋の真中で繁栄を誇った大陸だが、それが一夜にして大地震のため海底に沈んだと言われていた。楠見専務は元日本海軍技術少将、そして真琴は敗戦の夜、行方不明となった潜水艦長神宮司大佐の忘れ形見だという。この事件の裏には何かありそうだった。そんな或る夜、楠見のもとにフィルムが届けられ、その箱には「日本国民に告ぐ−−ムウ帝国」と書かれてあり、その内容は更に驚くべきものであった−−海底に没したムウ帝国は、その偉大な文明を駆使し、今なお海底王国として繁栄しているというのだ。そして再び地上に帰り全世界を支配しようというのだ。ただ一つムウ帝国のニガ手は神宮司大佐がある島に健在であり、海底軍艦ともいうべき強力高性能の潜水艦を造っていることだ。楠見閣下は部下であった神宮司大佐の所在を知っているはずである。今ここに神宮司に対し建艦中止命令を出さない時は、全世界はムウ帝国によって破壊されると思え−−と告げられてあった。この予吾を裏書きするように、世界各地で原因不明の大事故が多発した。事態を重視した楠見は、真琴、旗中、西部らと共に南海の孤島へ飛ぶことにした。神宮司大佐に会い、海底軍艦の出動を要請するためである。まさにムウ帝国と海底軍艦との世紀の争いは開始を告げようとしているのだった。
「海底軍艦」は押川春浪の原作「海底軍艦」を元に本多・円谷監督の名コンビによって製作され、1963年に公開された作品である。この作品は、細かく描かれた人間描写もさることながら、海底軍艦・轟天号の斬新なデザインが話題を呼び、「東宝特撮映画の最高傑作」とも謡われている。
さすが東宝特撮映画の中でも評判の良い作品。今日始めて見たけど、人間ドラマがよく練られていて面白かった。一応、ムウ帝国の守護神としてマンダが出てはくるが、この映画は「怪獣映画」とは言いがたい。メインはやはり轟天号ということになるが、これは「海底軍艦」というタイトルを借りた神宮司大佐(田崎潤)の物語であろう。
戦争が終わったと知らず、大日本帝国が太平洋戦争に勝つために、日本から遠く離れた秘境の島で、部下と共に轟天号を建造する神宮司大佐の姿はどこか切ない。終戦から20年経ち、娘と再会するも「家庭を顧みることは女々しい」と考えられた戦時中の考えにより、素直に娘に接することが出来ないその神宮司の悲しさは我々の心に戦争と言うものの悲しさを感じさせてくれる。だからこそ、映画後半で「戦争」という心の鎧を脱ぎ、轟天号を駆ってムウ帝国撃滅に向かう神宮司大佐のシーンは、東宝特撮映画屈指の名シーンに仕上がっていると思う。
ところで、この神宮司大佐の姿を見て、1972年にグァム島で発見された横井庄一氏のことを思い出した方も少なくないのではないか。彼は轟天号こそ建造してはいなかったが、同じようなことは実際に起きていたワケで、そういう意味でもこの作品の人間ドラマは非常にリアリティに富んでいる。
そんなわけで、神宮司大佐が素晴らしいのだが、それ以外のキャスト陣も魅力的なのがこの作品の特徴。62年の「キングコング対ゴジラ」で名コンビぶりを発揮した高島忠夫・藤木悠コンビが再び顔を揃えているし、特撮映画の常連、佐原健二が珍しく敵役として登場しているし、佐原と同じく常連である小泉博が刑事役で出演するなど、特撮映画ファンにはたまらないキャスティングとなっているではないだろうか。
もちろん、本来の主役である海底軍艦・轟天号の存在も忘れてはならない。そのカッコ良さは巨大なドリルに代表され、空を飛び陸を行き海を潜る、まさに万能戦艦と呼ぶに相応しい。クライマックスでその巨大なドリルを使ってムウ帝国をぶち抜くシーンは、実写の迫力を存分に見せ付けてくれた。そこに伊福部昭の斬新なマーチがかかるのがまたイイ。ただ、メイン主砲であるハズの冷戦砲が、効果音の所為か妙にしょぼく見えてしまうのがタマにキズか。ちなみにこの轟天号は最新作「ゴジラ FINAL WARS」で勇ましい復活を遂げていることは承知の事実である。
その他特撮的な見所としては、やはり丸の内の陥没シーンか。従来の用にミニチュアの破壊に止まらず、一気に多くのミニチュアを破壊することにより、迫力を生み出すことに成功している。それと同時に、東京湾に停泊している旅客船を爆破するシーンを用意するなど、従来どおりの破壊シーンで観客を魅了しているのも偉業と言えよう。ただ一つ残念なのが、轟天号対マンダのシークエンスがあまりにもあっけなさすぎることか。まぁ、こちらも「ゴジラ FINAL WARS」でリターンマッチを行っているので、そちらに任せることにしたい。
んで、そんなこんなでこの「海底軍艦」をキッカケに怪獣映画以外の特撮映画に手を出してみようかと思うわけで、間違いなく面白い作品だったな、この作品は。
次回は「地球防衛軍」に手を出してみようかな?(^^;
「海底軍艦」
製作:田中友幸 脚本:関沢新一
音楽:伊福部昭 特技監督:円谷英二 監督:本多猪四郎
旗中進:高島忠夫 神宮司真琴:藤山陽子
伊藤刑事:小泉博 楠見:上原謙 西部善人:藤木悠
海野魚人:佐原健二 天野兵曹:田島義文 神宮司大佐:田崎潤
封切:1963年12月22日
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