しばらく映画レビューから遠ざかっていたが、夏休みで時間が出来たのでやっと何本か鑑賞することが出来た。
今日のお話は、映画「笑の大学」
それにしても最近の邦画は面白い。
私は基本的にSF映画を中心に見る人なんだが、そんな人間でも楽しんで見ることが出来る。というか、最近は真正面からのコメディ映画であんまり無かったような気がするからなぁ。昔は「クレージー」シリーズとか「無責任」シリーズとかがあったけど。だがそんな世相の中でもこれだけのコメディを撮ったことは素晴らしい。やっぱり三谷幸喜は天才だ。三谷幸喜の作品といえばこれまで「ラヂオの時間」「みんなのいえ」などがあるが、これをキッカケにこれらの作品も見てみようかと思ったほどだ。
これまで何度も書いたが、映画というのは期待して見ると寧ろ外れることのほうが多い。それは傑作、駄作という意味だけではなくて、笑いのツボが違ったとか、想像していたものとはかけ離れたものだったとか、いろいろ理由はあるんだけれども、少なくとも今回の作品に至ってはそういった心配は皆無であった。
まず、私が惹かれたのはこの作品が完全なる「密室劇」に近いというコトだった。厳密に言えば舞台のシーンや劇団のシーンがあったりして、完全なる「密室劇」ではないのだが、121分ある物語の中の8割は向坂(役所)と椿(稲垣)の二人だけのシーンで構成される。通常「密室劇」というのは画面が固定され、映像が単調になるということで敬遠されがちなのだが、本作は見事なカットバックにより、密室にも関わらず動きのある画を作ることに成功している。これは偉業という他無い。
そんなカメラワークもさることながら、この作品の魅力は、登場人物の軽快な「セリフのキャッチボール」にあるだろう。思えば昔の映画はみんなこのキャッチボールが上手かったのだが、最近の作品は、そういった昔ながらの手法が若干忘れ去られていたように感じていた。だからこそ主役の二人の軽快な台詞回しは痛快だ。無論、役所広司という名優あってこそなのだが、それにも負けなかった稲垣吾郎の好演も評価したい。正直、ドラマや映画の印象などは中居や草なぎに負ける印象が否めなかった稲垣だが、この作品によって再評価されたと思う。
そしてこの二人にドラマを絞ったことでわかりやすさもピカイチだ。一応小松の大親分や、名優・高橋昌也が登場したりするが、基本の登場人物は二人だけ。だからこそ、最後の場面が引き立つのだ。それに、121分という少々長い上映時間をたった二人だけの登場人物で、なおかつテンポ良く見せた展開も素晴らしいと言わないで何というのか。
笑いあり。涙あり。そんな懐かしい言葉が思い浮かぶ、新たなコメディ映画が誕生したことを心から祝福したい。
「笑の大学」
製作:亀山千広・島谷能成・伊東勇 原作・脚本:三谷幸喜
音楽:本間勇輔 監督:星護
向坂睦夫:役所広司 椿一:稲垣吾郎
青空貫太:小松政夫 廊下の制服警官:高橋昌也
石川三十五衛門:長江英和 モギリのおばさん:石井トミコ
貫一:眞島秀和 お宮:木村多江
封切:2004年10月30日 興収:7.2億円
今日のお話は、映画「笑の大学」
舞台は昭和15年。日本は戦争への道を歩み始めていた。国民の娯楽である演劇は規制され、台本も上演前に検閲を受けていた。そんな時代に、警視庁の取調室で出会った2人の男。
1人は笑ったことがない男、
情け容赦ない検閲官・向坂睦男(さきさかむつお)(役所広司)
1人は笑いに命をかける男、
劇団・笑の大学・座付作家・椿一(つばきはじめ)(稲垣吾郎)
向坂は、このご時世に喜劇など上演する意味がないと考えている。
“笑の大学“を上演中止に持ち込むため、椿の台本に対して「笑」を排除するような無理難題を課していく。一方椿は、上演許可を貰うため、向坂の要求を飲みながらも「笑い」を増やす抜け道を必死に考えていく。しかし、執拗な向坂の要求は、皮肉にも台本をどんどん面白くする方向に向かってしまっていた。
いつしか2人は夢中で喜劇台本を創り始める。
やがて、2人が創り上げる傑作喜劇とは。
完成の瞬間、2人に訪れる宿命とは。
それにしても最近の邦画は面白い。
私は基本的にSF映画を中心に見る人なんだが、そんな人間でも楽しんで見ることが出来る。というか、最近は真正面からのコメディ映画であんまり無かったような気がするからなぁ。昔は「クレージー」シリーズとか「無責任」シリーズとかがあったけど。だがそんな世相の中でもこれだけのコメディを撮ったことは素晴らしい。やっぱり三谷幸喜は天才だ。三谷幸喜の作品といえばこれまで「ラヂオの時間」「みんなのいえ」などがあるが、これをキッカケにこれらの作品も見てみようかと思ったほどだ。
これまで何度も書いたが、映画というのは期待して見ると寧ろ外れることのほうが多い。それは傑作、駄作という意味だけではなくて、笑いのツボが違ったとか、想像していたものとはかけ離れたものだったとか、いろいろ理由はあるんだけれども、少なくとも今回の作品に至ってはそういった心配は皆無であった。
まず、私が惹かれたのはこの作品が完全なる「密室劇」に近いというコトだった。厳密に言えば舞台のシーンや劇団のシーンがあったりして、完全なる「密室劇」ではないのだが、121分ある物語の中の8割は向坂(役所)と椿(稲垣)の二人だけのシーンで構成される。通常「密室劇」というのは画面が固定され、映像が単調になるということで敬遠されがちなのだが、本作は見事なカットバックにより、密室にも関わらず動きのある画を作ることに成功している。これは偉業という他無い。
そんなカメラワークもさることながら、この作品の魅力は、登場人物の軽快な「セリフのキャッチボール」にあるだろう。思えば昔の映画はみんなこのキャッチボールが上手かったのだが、最近の作品は、そういった昔ながらの手法が若干忘れ去られていたように感じていた。だからこそ主役の二人の軽快な台詞回しは痛快だ。無論、役所広司という名優あってこそなのだが、それにも負けなかった稲垣吾郎の好演も評価したい。正直、ドラマや映画の印象などは中居や草なぎに負ける印象が否めなかった稲垣だが、この作品によって再評価されたと思う。
そしてこの二人にドラマを絞ったことでわかりやすさもピカイチだ。一応小松の大親分や、名優・高橋昌也が登場したりするが、基本の登場人物は二人だけ。だからこそ、最後の場面が引き立つのだ。それに、121分という少々長い上映時間をたった二人だけの登場人物で、なおかつテンポ良く見せた展開も素晴らしいと言わないで何というのか。
笑いあり。涙あり。そんな懐かしい言葉が思い浮かぶ、新たなコメディ映画が誕生したことを心から祝福したい。
「笑の大学」
製作:亀山千広・島谷能成・伊東勇 原作・脚本:三谷幸喜
音楽:本間勇輔 監督:星護
向坂睦夫:役所広司 椿一:稲垣吾郎
青空貫太:小松政夫 廊下の制服警官:高橋昌也
石川三十五衛門:長江英和 モギリのおばさん:石井トミコ
貫一:眞島秀和 お宮:木村多江
封切:2004年10月30日 興収:7.2億円
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